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ML320ブルーテック試乗 余計な心配はいらない!

懸念だったNOx量も、ガソリンエンジンとほぼ同等に

ML320ブルーテックが搭載するのは、E320CDIの3リッターV6と同じエンジンだ。圧縮比やターボの最適化、EGR量の増加といった細かい変更を加えているが、155kw/540Nmというスペックを含め大きな変更はない。

ではなぜ大幅なクリーン化が実現できたのか? 注目は最新のクリーンディーゼル技術搭載車であることを示す「ブルーテック」というサブネームだ。ブルーテックにはNOx吸蔵還元型触媒を使った小排気量車向けのシステムもあるが、ML320ブルーテックが搭載するのは「AdBLUEシステム」と呼ぶ尿素を使った技術。高温雰囲気下の排ガス中に尿素を噴射することでアンモニアを発生させ、それを利用してNOxを人体に無害な窒素と水に還元する。NOx削減量はE320CDI比で最大80%に達し、ガソリンエンジンとほぼ同等になった。

わざわざ尿素など積まずにアンモニアを積めばいいのでは? と思うかもしれないが、アンモニアは劇物指定でありクルマに搭載することはできない。そこで化粧品にも使われる無害な尿素を専用タンクに搭載し、間接的にアンモニアを得るシステムが考案された。一般的に「尿素SCRシステム」と呼ばれる排ガス低減技術を搭載した乗用車は、このML320ブルーテックが世界初となる。

この方式でクリーンな排ガスを保つには尿素(水溶液)の補給が不可欠になるわけだが、尿素水の消費量は燃料の1%程度。牽引時など高負荷運転を多用する際でも最大3%程度で済む。ML320ブルーテックの尿素水タンク容量は28Lだから、軽油2万8000リッター分の排ガス処理をできることになる。燃費がリッター7kmすると一回の補給で走れる距離は2万キロ弱。補給はディーラーで行うが、2万kmならオイル交換とほぼ同じサイクルで済むため煩わしさを感じることはないだろう。事実、タンク容量は尿素水の補充がオイル交換頻度とほぼ同じになることを狙って決定したという。

尿素水の補充を怠る不届きな(?)オーナー対策としては、まずは残量のウォーニング。次いで、尿素水がなくなってからのエンジン始動回数をコンピュータがカウントし、ある一定回数に達するとエンジンがかからなくするソフトウェアを組み込んだ。これによって、汚れた排ガスの垂れ流しを防ぐわけだ。

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