V8搭載・FRフェラーリ カリフォルニアに試乗!
掲載 更新 carview! 文:川端 由美/写真:フェラーリ・ジャパン
掲載 更新 carview! 文:川端 由美/写真:フェラーリ・ジャパン
イタリア人は、きっと美しさに溺れて死んでもいいと思っているのだろう。そう思えるほど耽美的な内外装を堪能したのも束の間、ステアリングを握った瞬間から、フェラーリという自動車メーカーがコンストラクターでもあることを思い知らされる。
アクセルを踏み込めば、フェラーリV8らしい迫力あるサウンドが耳に飛び込んでくる。F430のようにドライバーを煽るような演出ではないが、回転域に応じてチューニングされたサウンドは、日常の領域ではマチュアに、3500rpmあたりから上ではシャープに、ドライバーの感性に訴えてくる。
サスペンションのチューニングは、ステアリング・ホイール上にあるスウィッチで「コンフォート」「スポーツ」「CST解除」の3種の設定を選ぶことができる。一般道を走っている分には、よほどのスピードを出さない限り、コンフォートのままで十分だ。ドイツでアウトバーンをかっ飛ばす機会があれば、200km/hオーバーの領域においてスポーツを選ぶことをお薦めする。CST解除はサーキット走行のために用意されているモードであり、カタログに書かれた通りに0-100km/h加速を4秒以下でこなそうなどと考えたときのためにとっておけばいいだろう。
もうひとつ特筆すべきは、シチリアの狭く曲がりくねった山道で走らせても予想以上に楽しめたことだ。4563×1902×1308mmのスリーサイズは、決して小さいとは言えない。その上、フロントに大排気量のV8を積み、リアにハードトップを収納していれば、コーナリング時に生じるヨー慣性モーメントが大きくなるのは必然だ。ところが実際に運転してみると、思いのほか、軽快な走りを披露する。見切りのいいデザインのせいなのか、あるいはステアリングを切った分だけ確実に鼻先を反応させる素直な操舵感のせいか。剛性が高いシャシーによって、ピッチとロールが抑えられているためだろうか。その割に乗り心地もいい。
いずれにしても、このクルマに乗ると運転が上手くなったように感じる。直噴化によって独特の味わいが損なわれるのではと懸念されていたエンジンだが、アクセルワークに対する過敏な反応が抑えられていると同時に、フェラーリらしい俊敏な応答性は削がれていない。
フェラーリが設計し、ゲトラグが生産を担当したデュアルクラッチ式7速ギアボックスは、最高出力460ps/7750rpm、最大トルク485Nm/5000rpmを発揮する4.3リッターユニットの魅力を最大限に引き出してくれる良きパートナーだ。F1マチックは、シングルクラッチ特有の空走感を抑える運転技術を要求したのに対し、デュアルクラッチ式ギアボックスでは、MTのようなダイレクトなシフトフィールはそのままに、誰でも乗った瞬間からパドルシフトを駆使してスムーズな変速を堪能できる。
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