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新型911ターボSほか、ポルシェ3台一気乗り

560psと700Nmを使い切れそうな凄さ

ドイツを舞台にした国際試乗会では、その高性能と快適さの両立ぶりを公道とサーキットの両方で実感して来たが、果たして日本の路上ではどうか? まずは試乗会ベースのホテルを出て海沿いの道路を走るが、そこではターボSの快適さがストレートに実感できた。

電子制御アダプティブダンパーを備える脚は、ダンパーのスポーツモードを選ぶとちょっと硬めではあるが、ノーマルモードでは意外なほどしなやかに動き、20インチ径のピレリPゼロを履くバネ下の質量を感じさせぬ、快適なライドを提供してくれる。ニュルブルクリンクで市販型911最速のラップをマークする猛者とは、とても思えぬ乗り心地なのだ。標準装備のPCCB=ポルシェセラミックコンポジットブレーキがバネ下重量の軽減に役立っているのも、好ましい乗り心地の一因になっているはずである。

パワートレーンにも同様のことがいえる。560psと700Nmを叩き出す3.8リッター水冷フラット6ツインターボは、低回転からもスムーズに反応して有効なトルクを捻り出すし、ツインクラッチ2ペダルの7段PDKも滑らかな変速を可能にしているから、狭い街道筋や市街地を低速で流すことを強いられても、ドライバーはストレスを感じないで済む。それに加えて、リアアクスルステアリングが50km/h以下では後輪を前輪と逆位相にステアするため、小さな舵角でノーズが鋭く向きを変えるのが味わえるのも小気味よい。

一方、ターンパイクのような高速ワインディングに入って鞭をくれると、ターボSは超高性能車の側面を即座に発揮する。踏み込むスロットルの深さと速さに応じて加速は自由自在、どこから踏んでも背中をバックレストに押しつける強烈な加速を振る舞ってくれる。

それでいて、猛烈にパワフルであることがもたらす恐怖感のようなものは特に感じられず、3.8リッターのフラット6ツインターボが生み出す怒涛のパワーを、シャシーが見事に受け留めている印象をうける。つまり、560psと700Nmを危なげなく使い切れる感じがするのだが、そこがこの991型ターボSの最も凄いところだろう。

というわけで、2500万円近くを911に投入できる状況にある余裕の御仁なら、普段使いのためのクルマとしてターボSを手に入れても、決して間違いにはならないと思う。

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