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63年モノの伝説の名車300SLでミッレミリアに出場した・後編

参加マシンに300SLが多いのは理由があった

そしていよいよ我々の「300SL」との再会である。我々のマシンは車検も無事に終わり、すっかり化粧直しされたピッカピカのボディにはスタート・ナンバーの354が与えられていた。メカニックから改めてコンディションを聞くが、別に問題はなさそうだ。時間に余裕ができたので車検会場を回ってみると300SLは意外に多かった。おそらく耐久性が高いのはもちろんだが、メルセデス・ベンツのクラシック部門によるスペアパーツの供給やメインテナンス、レストア活動によるものだと思う。

見回すと真っ赤なマセラティやアルファロメ、フェラーリなどの奥にBMWのグループがあった。BMWは1940年に「328ミッレミリア」と名付けた専用ワークス・ロードスターとルマン用の「328ツーリングクーペ」で参戦し、後者がフシュケ・フォン・ハンシュタインの操縦で優勝している。

いよいよラリー開始。メインドライバーをエレンに任せられるのと、度胸が座ってきたせいか、スタートはそう緊張しなかった。予習をしっかりやって来たせいで、コマ図の読み方もすぐに慣れてきて、ミスコースも無く、我々のマシンは問題なく駆け抜けていく。

とはいえ、指示平均速度が35km/hを超える区間で渋滞にハマると遅れを戻すのが大変で、公道では考えられない速度で突っ走らねばならない。もしオービスを光らせたら罰金を覚悟しなければならず、運を天に任せるしかない。以前は渋滞時に白バイが先導してくれることもあったが、今回、こうした公的なサポートは僅か一つの町で遭遇しただけだった。

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