新型911GT3海外試乗 先代を大幅上回る速さ
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:ポルシェジャパン
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:ポルシェジャパン
エンジンの詳しいスペックから見てみよう。新型GT3には新しく設計された3.8リッターのボクサーエンジンが搭載される。今までのGT3では、通称「GT1クランクケース」を使うという習わしがあったが、新型GT3は使っていない。
「GT1クランクケース」は剛性に定評のある縦に2分割された特別なクランクケースを持つ、レース用空冷エンジンだ。一方、新型GT3のエンジンはカレラSの3.8リッターをベースにしている。GT3のエンジンは9000rpmという高回転を実用化するため、新開発のロッカーアームを採用してカムシャフトやバルブなど動弁系の慣性重量を低減している。さらにコンロッドとピストンピンはチタン製で、秒速25メートルを超えるピストンスピードに耐えるように設計している。
燃料噴射は直噴式だがその圧力はなんとノーマルの2倍の250バールだ。インジェクターは6個のホール(穴)があり、短時間にガソリンと空気を均質に混ぜるために、スプレーのように噴射される。
また、高い横G下でも潤滑油が途切れないドライサンプ方式を踏襲するが、クランクケース内は6つの部屋に隔離されている。こうした技術で最高出力475hp(350kW)を8250rpm、最大トルク440Nmを6250rpmで絞り出す。許容最高回転数は9000rpmと量産型では最強の自然吸気エンジンとなった。
実際の加速はとても鋭い。「気持ちいい」を通り越して「アドレナリンが出すぎて、溺れそう」というのが正直な感想だ。エンジンフィールは5500rpm前後を超えるとさらにパワーが盛り上がる感じだ。「いわゆるカムに乗る」という感覚だ。この気持ち良さは決してターボでは味わえない。レブリミットは9000rpmだが、8800rpmくらいで自動的にシフトアップ。トラクションコントロールをカットするときっちりと9000rpmまでまわる。
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