ジャガーF-PACE・初試乗。プレミアムSUVの新参者はどんなクルマか?
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:ジャガー・ランドローバー・ジャパン
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:ジャガー・ランドローバー・ジャパン
最初に試したのは最高出力380ps、最大トルク450NmのV型6気筒3L・スーパーチャージド・ガソリンエンジンを積む「F-PACE S」をベースとする“FIRST EDITION”。モンテネグロの狭い一般道に出て、まず感じたのはボディの強靭さだ。265/40R22というサイズのピレリP ZEROは、さすがに低速域では路面の荒れやうねりに敏感なところもあるのだが、剛性感たっぷりのボディはそれらをビクともせずに受け止めてしまう。
速度が上がってくると、乗り心地はしなやかさを増してくる印象。適度に姿勢変化を許すが、そうやってタイヤを路面にぴったり接地させながら驚くほどの安定感をもって曲がっていくのが、いかにもジャガーらしい。
ほぼ前後50:50の前後重量配分に加えて、通常はほぼ後輪駆動。必要に応じて瞬時に前後50:50まで駆動力配分を変化させる電子制御式のAWDシステム、そしてトルクベクタリング・バイ・ブレーキングもサポートしてくれているのだろう。ステアリング操作に対する応答性は正確そのもので、意のままになるニュートラルなステア特性を堪能させてくれる。
走りのライバルとして想定した「ポルシェ マカン」の、低重心を活かしてドイツ車らしく姿勢変化を抑えたフットワークとは、まったく方向性は異なる。しかし実力は互角という印象だ。
ジャガーの他のモデルでもお馴染みのパワーユニットは、全域でトルクフルなだけでなくスーパーチャージャーのメリットで抜群のレスポンスを誇る。アクセル操作にリニアにトルクが湧き出るからクルマとの一体感が高く、しかも吹け上がりも豪快。8速ATの制御もますます精度が高まってきている印象で、とにかく気持ちよく走れる。
日本仕様では主力として据えられることになるディーゼルエンジンも魅力的だ。“インジニウム”の名で呼ばれる新開発の直列4気筒2L・ディーゼル ターボエンジンのスペックは最高出力180ps、最大トルク430Nmと、特にトルクが強力。あまり上は回らない印象だが、日常域の力強さでは先に乗った「S」に負けていないし、騒音、振動がよく抑えられているのが嬉しい。しかも、これは車載燃費計の表示だが、山道と郊外の一般道で、なんと4.9L/100km(約20.4km/L)という燃費が出た。日本での使い方でだって、期待していいはずだ。
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