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SLS AMG ロードスター、“世界最速”の実力

世界最速のロードスター

エンジンはクーペと同じで最高出力571ps/最大トルク650Nmを発生する自然吸気のV8だ。このエンジンは従来からあるAMG専用の6.3リッターをレースチューンしたもの。ターボ全盛期には珍しい自然吸気のスポーツエンジンはかえって新鮮だった。F1のテクノロジーから実ったV8は各種の高効率技術が織り込まれ、さらにドライサンプ化したことで低重心も可能となった。

エンジンの始動音は「キュルキュルバーン」、低いV8サウンドが愉しめる。このドロドロした唸り声こそがAMGなのだ。この個性的なサウンドは燃料を噴射してまで作り出している。AMGはまるでオーケストラの指揮者のようでもある。

SLS AMGにはAMG専用のツインクラッチ「AMGスピードシフトDCT」が開発されているが、このスーパースポーツに相応しいギアボックスはトルコンATのようにイージードライブも可能だ。しかし、変速タイミングを早めて本気で加速すると、0-100km/h加速はなんと3.8秒、最高速度は317km/hに達する。これは文句なく世界最速のロードスターではないだろうか。

SLS AMG ロードスターから見て、気になるライバルは同じ時期に発表されたフェラーリ458スパイダーかもしれない。ミッドシップとフロントエンジンの違いはドライバーの感性次第だが、官能的な部分でも良い勝負かもしれない。というのはフェラーリサウンドのような甲高いエンジン音ではないが、むしろフェラーリとは対象的な低いエンジン音がSLSの特徴なのだ。

乗り心地はとてもよくなった。というのは、クーペの時はすこし窮屈な乗り心地であったのだ。この影響はサスペンション(ダンパー)が単純に硬いという話しではなく、トランスアクスルのスポーツカーにありがちな、パワートレーンという巨大な内臓の共振ではないだろうか。ロードスターではダンパーに「コンフォート」モードを追加したことで、バネ上のボディとパワートレーンの共振を回避することができた。SLS AMG クーペは乗り心地が硬いという声が実際にユーザーの間からも聞こえていたが、その対策としてダンパーを最適化した。この作戦は見事に成功し、荒れた路面でも快適性は満足できるレベルになった。しかし、「コンフォート」では正直言ってロールを感じる。「低い速度なら許される」と追記しておきたい。このアイディアはクーペにも適用される。

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