アウディR8 V10・後編911ターボと比較&考察
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:アウディ ジャパン
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:アウディ ジャパン
冒頭()にスポーツカーには圧倒的な速さか、伝統や歴史が不可欠であると述べたが、R8には、ポルシェカレラ4を産んだクワトロ技術が隠されていたのだ。その意味ではR8は立派な伝統を持っている。しかし、クワトロが誕生した1980年よりももっと昔に、アウディはPワーゲンというレーサーモデルを開発していた。このレーサーモデルを開発したのは、フェルディナンド・ポルシェ博士であったわけだから歴史は実に愉快だ。
V型16気筒スーパーチャージャーをミッドシップに搭載するモンスターマシンは当時のレーシングカーの常識をほとんど覆すスペックを持っていたと言われている。
さて、これでR8の生いたちが理解できたが、先に誕生したV8エンジンのR8とV10をどのように棲み分けるのだろうか。スーパーカーの世界では排気量を変えても気筒数を変えてはいけないという不文律があった。その掟を破ってしまったことが気になるのだ。V10がデビューしたことでV8オーナーの心中を察してしまう。
しかしアウディにとって今年のルマンからV10のディーゼルがデビューするので、V10という記号性は欠かせない。ちょっと前までV12気筒のディーゼルをR8に搭載するとまで発表していた。つまりアウディにとってそんな掟など関係ないのだ。もしかしたら3リッターV6のスーパーチャージャーや2リッターのTSIも載せるかもしれない。アウディにとってR8は過去のスポーツカーを蘇らせたのではなく、きっと未来に向けた新しいスポーツカー観をもたらすことが狙いかもしれない。過去の常識に囚われない自由な発想で環境の時代を生き抜く新世代のスポーツカーを目指しているのではないだろうか。
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