パサートCC×吉田 匠 国内試乗、速攻レポ！

最大の美点は乗り心地とハンドリング

とはいえ、パサートCCに乗ってみて最も感激したのはパフォーマンスではなく、その乗り心地とハンドリングの分野だった。CCには両モデルとも、アダプティブダンピングシステムを備えるDCCが標準装備されている。これは、コンフォート、ノーマル、スポーツの3つのモードに任意で切り替えが可能なほか、ノーマル状態でも路面状況やクルマのスピードなどに応じてダンピングを自動的に変化させる。

長いホイールベースにフロントがストラット、リアが4リンクのサスペンション、それにDCCが備わるパサートCCは、常にフラットで快適な乗り心地を提供する。今回、箱根の試乗会で乗った2台の場合、2.0TSIの方が脚の動きが締まっている印象で、乗り心地は一段と快適に感じられた。それに比べるとV6 4MOTIONの乗り心地はやや緩い感触があったが、この相違、仕様の違いによるものか個体差か判断できなかった。いずれにせよこの乗り心地には、タイヤも貢献しているはずだ。パサートCCは釘踏みなどの際もエア漏れを防いでそのまま乗り続けられるコンチネンタルのコンチシールなるタイヤ、サイズは235/45R17を履いていたが、その乗り心地にはランフラットのような素直で、いずれもアンダーステアの軽いコーナリングが愉しめる。前輪駆動の2.0TSIの方が身のこなしは軽快だが、V6 4MOTIONの存外にアンダーステアの軽い、しかも4WDらしく安定した操縦感覚も捨て難い。それ以外で両者の違いを挙げれば、V6 4MOTIONのブレーキがややオーバーサーボ気味だったのが少々気になった。だがいずれにせよ、エレガント系の外観に似ず、飛ばせばそれにすこぶる気持ちよく応えてくれるところが、近年のフォルクスワーゲンのプロダクツらしい。