マスタングはアメ車界の名落語家、その心は?
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:篠原 晃一
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走っても、やはりほどよいユルさがマスタングV8の美点で、乗り心地はスポーツカーとして硬すぎず柔らか過ぎずちょうどいい具合。街中から高速までずぼらに走っても始終フラットでアゴを出さず、ステアリングフィールも含めほどよい滑らかさ。峠をギンギンに走りたい向きにはダルさを感じるところもあるんだろうけど、俺みたいなぐーたらオヤジ系スポーツカー好きにはちょうどいい。
もちろんオープンボディがゆえ、荒れた路面を走るとフニャフニャっと揺さぶられる場合もあるが、それが気になる人は、アウディとかポルシェでも買って下さいって感じだ。
そしてやっぱりエンジンよ。アメ車ならではの5リッターV8・DOHCは、下からトルクが太いだけでなく、パワーが増えた分、高回転域までより豪快に吹け上がる。なによりもいいのがサウンドで「まるでコイツはOHVか」って感じのレトロかつ大迫力のドドドドって排気音と共に快楽が増していく。
ホント、このあたりは知ってる人しかわからないけど、アメ車にしかない味で、狭い峠を、生き急ぐように走る国産スポーティFFとも、街中や高速を華やかに走るヨーロピアンスーパーカーとも違い、ノンキに気楽にまるで温泉に浸かってるかのような麻薬的キモチよさ。
アメリカンスポーツにはアメリカンスポーツにしかない快楽の黄金比があり、それをマスタングV8コンバはよく知っている。新進気鋭のお笑いではなく、伝統の落語家のお笑い。ソイツがお好みの人には断然コチラですな。
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