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まぎれもないシトロエン 吉田匠が新型C5を報告

そしてもちろん、乗っても好し

ポルトガルの試乗会でも、僕が好印象を得たのはV6モデルの方だった。そこで軽井沢をベースにした今回の試乗会でも最初に3.0エクスクルーシブのセダンをドライビングしてみたが、こいつはやっぱり日本で乗っても好ましいクルマだった。

まずは215psと30.5kg-mを生み出す3リッターV6とアイシンAW製6段ATの組み合わせによって前輪を駆動、車重1730kgという決して軽くないボディを走らせる動力性能が、過給器付きの6気筒を備えるドイツ車のような鮮烈な加速こそ味わわせてくれないものの、充分納得できる爽快さを持っているところが好ましい。しかもフランスの3ブランドがすべて使うこのV6、基本的に回転がスムーズな上に、C5のユニットに関していえば、スロットルを深めに踏み込んだときになかなかの快音を発するところも気に入った。

とはいえ、シトロエンの上級モデルといえばやっぱりあれ、ガスとオイルを使ったサスペンション、ハイドロニューマチックである。C5のそれは電子制御版の最新仕様たるハイドラクティブIIIプラスだが、これがまた実にいい。走り出すと同時に、通常の金属スプリングのクルマとは異次元の“雲に乗ったような乗り心地”に感激するが、C5の場合はそれが最上級モデルのC6より微妙に締め上げられていて、ソフトではあるけれど決してフワつくことはない。

もうひとつC5が好ましいのは、かつてのシトロエンと違ってボディ剛性が充分に確保されていることで、3.0は18インチのミシュランを標準で履いているにもかかわらず、バネ下の動きがボディに衝撃を与えることがない。だからハイドロニューマチック独特の超フラットな乗り心地を、平和な気分で味わっていられる。街中のチョイ乗りでも感激できる一方、長距離を走れば疲れの少なさを確実に実感できるはずだ。

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