リンカーン ナビゲーター、“絶対的”な魅力

優雅にダラっと走りたい

ナビゲーターの走りはいい意味で“大味”だ。シートも大柄だし、ハンドルも大きいうえ、ラージサイズミニバンをも見下ろすようなアイポイントの高さにより、「優雅にダラっと走って、ゆとりある移動を楽しんで下さい」という雰囲気に包まれる。

その雰囲気のままに走りこんでいくと、ナビゲーターの走りは実に見事だ。タイヤのダンピング特性の良さもあるが、突き上げ感も少なく、ドシッと腰を据えたフラットライド感がある。

最大トルク495Nmの5.4リッターV8気筒エンジンは、ドロドロという排気音とともに、ストレス無く2.7トンの超重量級ボディを前に進める。高回転を使うのではなく、低回転の膨大なトルクで知らずのうちに車速が上がるフィーリングは、ナビゲーターの持ち味である優雅さをさらに助長する。

スポーティドライブにはさすがに向いていないが、優雅な雰囲気に身を任せ、そこから生み出される走行ペースで走る限り、これまた不満なく曲がるし、止まる。ちなみに燃費は、豪快にアクセルを踏み込めば極悪になるが、トルクフルな低回転域を積極的に使う6ATの味付けに逆らわなければ、高速道路でリッター10kmに迫る数値を見ることもできる。しかも嬉しいレギュラーガソリン仕様だ。

特異な高級感と優雅さを圧倒的なオーラとともに放ち、その走りで穏やかな気分にさせてくれるナビゲーター。個人的には欲しいクルマの上位3台にここ数年ずっと入っているモデルだ。