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高性能車を狙い撃ち! トーヨー・プロクセス1

もう一つのサスペンション

走り出して驚いたのは、快適性が高いこと。プレゼンを聞く限り高剛性という言葉が多数出てきており快適性は高いとは思えなかったが、ギャップを超えた際の突き上げ感が少ないし、タイヤ自体の振動収束も早い。

そして直感した。これこそターゲット車種を明確に絞り込んで、クルマとの相性を整えた効果だと…。ギャップを足回りが吸収する動きと、タイヤが吸収する動きが見事に連携しており、まるでタイヤがもう一つのサスペンションになったようなしなやかさや振動の収まりを手にすることができるのだ。

このしなやかで懐の広いダンピング特性は、当然高いグリップ力も確保。路面のアンジュレーションをなぞるようにタイヤが転がり、路面が荒れている場面でアクセルを床まで踏み抜こうとも、不思議なほど滑らずにクルマが前に進んでいく。もちろん、そのようなトラクションやブレーキなど縦方向への性能だけでなく、横方向の粘るようなグリップ力もある。さらに言うと、そのような動きを持ちながらも、ハンドルの初期応答も良いし、適度な剛性感があり、気持ち良くそして安心してカーブを走り抜けることができるのだ。

これら印象を整理すると、高剛性のタイヤ造りがスポーツタイヤとしての基本的な操作性の良さやグリップ力を生み出し、足回りとの相性の良さが、まるで1インチタイヤサイズを下げてタイヤのエアボリュームを増やしたときのようなしなやかさを手にしているというもの。

強いて気になる特性を上げるとすれば、R8だと曲がりだしのハンドルの操作に対して、若干ではあるが途中からクイッと曲がる力が強くなる癖を感じること。恐らく外側と内側でのコンパウンドの硬度と剛性が違いすぎるのが原因だと考えられるが、カーブで本格的にタイヤの外側ブロックを使いだすと、踏ん張り感が増すと共に旋回能力が突然高まる印象があり、その変化がハッキリし過ぎていると言うわけだ。

このような特性のあるR8でさえ総合的に考えれば、高いトラクション性能やハンドリング性能さらには操作性の良さといった高いスポーツ性にしなやかな乗り味を両立したプロクセス1は魅力的。ポルシェやR8オーナーは、注目して損をしないタイヤだ。

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