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タイプRA試乗。売り切れ御免の人気限定車

ステアリングギア比の本当の理由?

ステアリングギア比が11:1になったと聞いて、多くの方はクイッと曲がるイメージを抱くかもしれないが、実際はそんなことはない。むしろSTIの真の狙いはリアタイヤに素早くフロントから生じた曲がる力を伝えることにあると、ボクは推測している。

クルマは曲がる力をフロント=操舵輪からしか発生できない。だからこそ、ボディ全体に曲がる力を伝えるために、ボディ剛性が重要になる。剛性が高まれば4つのタイヤを効果的に使えるから、クルマ全体が安定して素直に、気持ち良く曲がっていくのだ。

しかし、剛性アップに効果的なドア開口部のボディスポット補強や、ウエスト周りのボディ下部強化といったメニューを追加すると、しなやかさ、つまり"やさしさ"が犠牲になる。STIはこのデメリットを嫌い別の方法を模索した結果、ステアリングギア比に注目したのではないか?

耐久レースなどではレーシングドライバーは、ブレーキの残し方に加え、ハンドルを切り込むスピードや量で、フロントタイヤやリアタイヤをどのように使うかを調整する。STIはステアリングギア比を11:1へとクイックにすることで、プロが素早くハンドルを切った状況を演出し、積極的にリアタイヤに曲がる力を伝えて、旋回性を高めているというわけだ。

もちろん、この手法はどのクルマにも有効というわけではない。こうしたクイックなハンドリングは、クルマの動きが落ち着かないなどデメリットも少なくない。膨大な走り込みテストによってこの11:1のギア比と、足回りとボディとタイヤのバランスを、絶妙な完成度に高めたところに、STIのマジックがあるわけだ。

申し訳ないが、今回は開発意図の裏は取れていない。後に「そうじゃない!」とSTIから声が届いた時は、次のスバルのレポートで謝罪することとしよう。何はともあれ、乗るだけでこれだけ色々と推測したくなるほど、作り手のこだわりや想いが色濃く出ているのがタイプRAだ。ノーマルのインプレッサWRX STIでは満足できないクルマ好きや運転好きを満足させるべく生まれた、入手困難なスペシャルモデルなのだ。

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