スポーツバックの美点 ギャランフォルティス評
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:中野 英幸
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走りの報告に移る前に、まずは使い勝手をみていこう。注目したいのがハッチバックならではの大きな開口部だ。これによってかさばる荷物でも楽に出し入れができる。さらに大きな荷物を積み込むときは、レバーでワンタッチ操作できるリアシートを畳めばいい。6:4分割シートを左右とも倒せば、奥行き1570mm、幅1395mmという大空間が現われ、スノーボードを楽々積み込める。天地のある荷物を積み込む際は、荷室床面を90mm下げて固定できる「2段高さ調整カーゴフロア」が便利だ。ただし4WDのラリーアート仕様にこの機能はない。
今回試乗したのは新しい1.8Lエンジンを搭載する「スポーツ」。139ps/172Nmというパワースペックは、それぞれの発生回転数を含めまったく同じだが、実はオールニューの新設計エンジンとなる。最大の特徴はSOHCでありながら独自のバルブ駆動システムを採用することで吸気バルブの連続可変リフトと、吸排気バルブの連続可変タイミングを実現していること。加えてアイドリングストップを組み合わせることで、燃費を従来の15km/Lから17km/Lに向上。75%減税対象車になった。
押し出しの強いランエボ顔や、45扁平の18インチタイヤなど、かなりスポーティーな装いをもっているが、走り出すと意外なほどにマイルドな乗り味をもっていることに気付く。常用域での静粛性はかなり高いし、荒れた路面でも揺すられるような不快な振動はない。大きめの尖った段差等ではさすがにビシッという強めのショックが伝わってくるが、それも瞬時に減衰してくれるため、質感の悪さにつながっていない。むしろ、ドライで気持ちのいい乗り味と評価する人が多いだろう。
新設計のエンジンも、決して有り余るほどの動力性能をもっているわけではないが、必要にして十分な動力性能をしっかりと確保している。刺激的な走りを求めるなら、ターボエンジンを積んだ「プチランエボ」とも言うべき「ラリーアート」を選ぶのが正解だが、「スポーツ」でも、高速道路やワインディングロードを含め、そこそこのペースで気持ちよく走ることができる。
優れた使い勝手とスタイリッシュなデザインに加え、普段使いからロングドライブまで、あらゆるシーンで気持ちのいいスポーツを提供してくれるオールラウンダーとして、ギャラン・フォルティス・スポーツバックは要注目の一台だ。
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