ノア/ヴォクシーでG's 発進、その“味”とは?
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:篠原 晃一
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走った印象は悪くはなかった。むしろ好感触と言っていい。でも、これがわざわざメーカーがブランドを立ち上げてまでやる仕事なのか。それこそ走りの面では、これぐらいのレベルはベース車の時点で達していてほしいというのが偽らざる心境だ。
見た目に関してもそう。好き嫌いはさておき、これはアフターのメーカーでも出来る仕事だろう。せっかくトヨタ自ら手掛けるなら彼らにはできない、たとえば輸入車購買層を魅了するような方向、なんてものを模索するべきではないだろうか?
走りの面でそこを突き詰めると、欧州車に味が似てきてしまうという話もあった。しかし欧州車とひと括りに言っても、実際にはドイツ車もフランス車も優れた資質の上に、独自の味を構築している。やりたいことが明確で独自のものなら、何かに似過ぎることは無いはず。現状は穴を埋めて「悪くない」ものには仕上げているが、突出した実力あるいは味を得るには至っていない。
さらに言えば、ミニバンで走り、とりわけスポーティなハンドリングを目指すということが、どれだけ必要なのかということも考えさせられるところではある。たとえばミニバンなら旋回力は控えめでも、より安心感を高め、そして極上の快適性をも両立してみせるという方向性だってあるのでは?
今後ミニバンだけでなくセダンもコンパクトカーも“G's”として生み出していくなら、どれも同じ味を目指すのではなく、基本のダシは同じでも素材に合わせて味付けは変えていくべきではないだろうか。料理だって、肉と魚と豆腐で同じ味付けはあり得ない。それぞれ旨くて、しかもすべてに共通する味がある。そういう領域こそ目指してほしい。
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