野生の本能を呼び覚ます マスタングに火を点けろ
掲載 更新 carview! 写真:中野 英幸
掲載 更新 carview! 写真:中野 英幸
ロングノーズ&ショートデッキの精悍なスタイル、スポーティな走り、低価格などで瞬く間にアメリカ人の心を掴んだのが、1964年に登場した初代マスタング。その後マスタングは、シェルビーGT500やコブラといったスペシャリティを輩出するなどハイパフォーマンス路線を歩み、映画「男と女」「ブリット」をはじめとしたスクリーンでも躍動。人々に強烈なインパクトを与えて、60年代後半を彩るアメリカン・マッスルカーブームを牽引した。
そのマスタングが日本市場で復活を果たしたのが、2006年9月のこと。数えて6代目となる現行マスタングは、初代モデルのイメージを継承しながら現代の最新テクノロジーを搭載し、“より速く・より機敏で・より安全”なクルマとして生まれ変った。
搭載エンジンは、4.0リッターV6(213ps/33.1kg-m)、4.6リッターV8(304ps/44.2kg-m)の2種類。いずれも勇ましいエンジン音をキャビンに届けるが、その加速フィールは獰猛で爆発的といった感覚とは少々趣を異にする。荒々しくありながらも、スムーズで誰にとっても扱いやすいものに躾けられているのだ。ハンドリングにも同じことが言え、ごくマイルドな感触を手のひらに伝えてくる。神経を研ぎ澄ませてコーナーを攻めるというよりも、豪快かつ大らかにクルージングを愉しむのが、マスタングの真髄だろう。走行安定性の高さは、タイヤをボディの四隅寄りに配置したり、最新のトラクションコントロールやABSといった安全装備の採用で、先代モデルを大きく上回っている。
見る者に“全身筋肉”といった印象を与えるスタイリングは、現代流のデザイン解釈がなされているが、ひと目でマスタングとわかる存在感はそのまま。インテリアでは“疾走するギャロッピング・ホース”を中央に奢った3本スポークステアリングや、大ぶりなATシフトレバーが野性味を強調する一方で、インストルメントパネルのバックライトを125色から選択できる「MyColorイルミネーション」を設定するなど、遊びココロも取り入れられている。たっぷりとボリュームのあるシートが、パッセンジャーの体を優しくホールドするので、ロングクルージングでも快適だ。
現行モデルのラインアップは、V6、V8ともにクーペとコンバーチブルを揃え、V6には“ポニーパッケージ”と呼ばれるドレスアップパーツ(1965年モデルを彷彿させる専用フロントグリルやリアスポイラー、17インチアルミなど)を標準装備する。価格はV6・クーペプレミアムが390万円、V8・GTクーペプレミアムが460万円で、コンバーチブルはそれぞれ70万円アップ。
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