■新型キックスや新型ヤリスクロス登場でホンダ「ヴェゼル」どうなる?
需要が高まっているコンパクトSUV市場ですが、その人気に拍車をかけるようにマツダや日産、トヨタから続々と新型モデルが投入されています。すでに発売されているホンダ「ヴェゼル」にどう影響するのでしょうか。
2019年10月24日に、マツダのSUVとして国内4車種目となる「CX-30」、同年11月5日にはダイハツ「ロッキー」とそのOEM車となるトヨタ「ライズ」、2020年6月24日にはe-POWERを搭載する日産「キックス」が発売されました。
また、同年8月末頃にはトヨタから国内で9車種目となる「ヤリス」の派生車として、「ヤリスクロス」の発売が予定されています。
さらに、コンパクトSUV市場にはかつてほどの勢いは無いものの依然として人気の高いトヨタ「C-HR」や、スバルで人気の「XV」、CX-30よりもコンパクトな「CX-3」など多くのモデルが存在。
そんなコンパクトSUV市場にておいて、ホンダ「ヴェゼル」は販売台数上位に位置するSUVとして人気の高い状態が続いています。
ホンダの国内SUVには、ヴェゼルのほかにミドルサイズSUVとして「CR-V」をラインナップしていますが、販売台数においては苦戦を強いられています。
一方、2013年12月に販売開始したヴェゼルは、国産コンパクトSUVのベストセラーとして、2010年代のホンダ国内市場をけん引してきました。販売開始から約6年以上経過した2019年でも、ヴェゼルは5万5886台もの販売台数を記録し、この年のSUVジャンルNo.1に輝いたほどです。
そんなヴェゼルですが、前述のように後発モデルなどの登場により、新車販売に影響はあるのでしょうか。
ヴェゼルの現状について、ホンダ販売店スタッフは以下のように話します。
「キックスが発売され、ヤリスクロスも発売が迫っていますが、ヴェゼルの販売は堅調です。
2020年5月時点では、キックスやヤリスクロスの情報が少なかったこともあり、どちらかというとC-HRと悩まれる人が多いです。
そもそも、発売から時間が経てば経つほど販売台数は鈍化していくものですが、ヴェゼルはそれが非常に緩やかなのが特徴のモデルです」
また、別の販売店スタッフは、次のように話します。
「キックスはe-POWERを搭載するということで、ヴェゼルのハイブリッド車が比較対象となります。実際に、6月24日のキックスの発売前にも関わらず『比較をしたいから』ということで、ヴェゼルに関する問合せをいくつか頂いています」
※ ※ ※
前出のホンダ販売店スタッフによると、人気グレードはガソリン車の「X・Honda SENSING」とハイブリッド車の「HYBRID Z・Honda SENSING」だといいます。
このふたつとC-HRとキックスを比較するとどうなるのでしょうか。なお、C-HRとキックスは近年の燃費基準となるWLTCモードで公開されていますが、ヴェゼルはひとつ前の基準となるJC08モードのみとなるので、燃費はJC08モードで比較します。
ヴェゼルのJC08モード燃費は、人気のある「X・Honda SENSING」が21.2km/L(4WDは19.6km/L)、「HYBRID Z・Honda SENSING」が23.4km/L(4WDは21.6km/L)となっており、ヴェゼル全体ではベースグレードとなる「HYBRID・Honda SENSING(2WD)」の27.0km/Lがもっとも高い数値となります。
CH-Rでは、ガソリン車「S-T」が16.4km/L、ハイブリッド車「S」が30.4km/Lでガソリン車ではヴェゼルに軍配が上がりますが、ハイブリッド車はトヨタに一日の長があるようです。
なお、ハイブリッド車としてe-POWERを搭載するキックスの燃費は30.0km/Lに達するので、各車グレード間の差はあれど、ヴェゼルはC-HRとキックスを追いかける形となっています。
価格面では、ヴェゼルの「X・Honda SENSING」は220万5093円(2WD)、「HYBRID Z・Honda SENSING」は276万186円(2WD)です。
C-HRの「S-T」は240万円で、ヴェゼルと比べて20万円ほど高く差、「S」では3万円ほど安い設定となり、キックスの「X」は275万9900円でヴェゼルとの価格差は286円とわずかです。
2013年の発売から約7年にわたって人気車種としての地位を築き上げてきたヴェゼルは、2016年登場のC-HR、そして2020年6月に登場したキックスにとって意識する存在といえ、2020年の7月から9月にはヴェゼルの販売面に影響が出てくるかもしれません。
■意外なヴェゼルのライバル車とは
群雄割拠のSUV市場において、ヴェゼルのライバルはC-HRやキックス以外にも多数存在します。
マツダ「CX-30」が挙げられます。ハイブリッド車の代わりにディーゼル車が設定されているものの、ボディサイズや価格帯が比較対象となっているようです。
2020年10月に発売されたCX-30のボディサイズは全長4395mm×全幅1795mm×全高1540mmと、全長4330mm×全幅1770mm×全高1605mmのヴェゼルと同等のモデルです。
また、パワートレインは、ガソリン車、ディーゼル車に加えマツダ独自のスカイアクティブXというガソリンとディーゼルの良いところを併せ持つエンジン車の3つをラインナップしています。
価格帯は、ガソリン車「20S(2WD)」の239万2500円からスカイアクティブX車「X L Package(4WD)」371万3600円となっています。
ヴェゼルを検討するユーザーについて、前出のホンダ販売店スタッフは次のように話します。
「ヴェゼルに乗り換えるユーザーは、ミニバンやステーションワゴンに乗られていることが比較的多いです。
サイズとしては5ナンバーで、『フリード』や『シャトル』からの乗り換えが多いです」
このように、ミニバンやステーションワゴンから乗り換えるユーザーが一定数いるということは、逆にミニバンとステーションワゴンもライバルとして対象になる可能性もあります。
ヴェゼルは、同サイズのSUVや5ナンバーサイズのミニバンなどがライバルとして存在する新車市場において、一部改良やマイナーチェンジなどにより健闘しているものの、2019年下半期はキックスとヤリスクロスの影響を受けるでしょう。
しかし、2021年には次期型ヴェゼルが登場するという噂もあり、今後のコンパクトSUV市場はさらなる激化が予想され、どのモデルがSUVジャンルでNo.1になるのか気になるところです。
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みんなのコメント
でもヤリスクロスは強烈なライバルになるだろう。