フォーカス海外試乗 新型ゴルフに真っ向勝負
掲載 更新 carview! 文:金子 浩久/写真:フォード・ジャパン・リミテッド
掲載 更新 carview! 文:金子 浩久/写真:フォード・ジャパン・リミテッド
新型フォーカスは初代と2代目よりは、だいぶ大人しく見える。初代はホイールアーチ外側のアクセントラインとCピラー上部にマウントしたテールライトユニットがセンセーションを巻き起こし、後追いするクルマが世界中に現れたけど、新型はそうしたディテイルからは手を引いて、フォルムそのもので勝負しようとしている。
ドアを開けてシートに腰掛けると、インテリアが大きく変わったことが一目瞭然だ。各部分の仕上げや品質が格段に向上した。
具体的な例としてひとつ挙げたいのは、スイッチ類の表示方法だ。2代目までだったら、黒いプラスチックの上に、例えば“ON”と白い文字でプリントされるだけだったのが、透過光による表示に置き換えられている。黒プラ白文字に代表される、いかにもヨーロッパ的な割り切りが一切姿を消した。これならウルサい日本の顧客も黙るだろう。
走り出すと、パワートレインが一新されたことがすぐに伝わってくる。2リッター4気筒ガソリン直噴エンジンは、同じフォードのエクスプローラー・エコブーストが搭載しているエンジンからターボチャージャーを取り除いたもの。170psの最高出力と202Nmの最大トルクを発生して、2代目よりも2割パワフルになった。トランスミッションはツインクラッチ式の6段。一気に効率化を図ってきた。
セイフティ面でも大いなる刷新が図られ、30km/h以下での走行中に自動ブレーキが掛かるようになった。さらに、VSC(車両安定装置)と併せて、コーナリング時に内側前輪にブレーキ制御を行ってアンダーステアを軽減するトルクベクトリングも標準で備わる。これはライバルに対する大きなアドバンテージだ。
初代と2代目のフォーカスの走りの美点は、俊敏性と安定性という相反する要素が高い次元でバランスされているところにあった。新型は、その資質を深めている。コーナーでキビキビと向きを変えるのだが、リアタイヤもしっかりと仕事をしていて、コーナーの頂点を過ぎてからの安定性に貢献し、接地を高め脱出を確かなものにしている。快適性も高まった。フラットで当たりの柔らかな乗り心地となり、それは運転席はもちろんのこと後席でも顕著だった。
フォーカスは、Cセグメントと呼ばれるこのクラスの標準を一気に押し上げたと言えるだろう。最大のライバルであるVWゴルフもフルモデルチェンジを果たしたことから、日本上陸が待ち遠しい。
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