レクサスESは高級FRキラーだがFFの限界も。デジタルミラーは未完成
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:望月 浩彦 2
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それがFF特有の乗り味だ。長いホイールベースで姿勢変化は穏やかになっているものの、うねり路面などでは前後が同期せずバラバラに動き、ピッチングが生じる。多くのケースで前だけがフワフワするので首が動きやすく、目線がブレ、微妙に体がシートから離されるような感覚で、高速道路をまっすぐ走っているだけでも落ち着きが足りない。もちろん直進安定性は高いし、ハンドルを切った時の反応はいいのだが、車両姿勢に落ち着きが足りないのだ。
旋回中にフロントがあおられると、ハンドルを動かしていないのに旋回特性が変わるのも、FFセダンの限界を感じるところ。
今の技術力をもってしても、高級セダンは重量バランスがよく、加速した際にリアが沈み込み、シートに体が吸い付くような姿勢変化で走るFRが個人的には良いと思う。姿勢変化も考慮した高級車に求められる乗り味という点では、FRレイアウトで重量バランスの良いLSが優れているし、やはり高級セダンはFRレイアウトなのだ。
ESがダメと言っているわけではない。電子制御ダンパーを採用したFスポーツは、まっすぐ走っているときでも姿勢変化が穏やかで快適だし、それが結果としてハンドリングの良さを生み出し、スポーティにも走れる。ただ、電子制御ダンパーは基本的に受動的で、突然の単発入力に対して足の硬さを変更することはできないから、硬さを感じる時もあれば、フロントのフワつきを感じることもあり、こだわるなら、高くてもFRのセダンという選択になるだろう。
ESで選ぶならどのグレードか? 個人的にはFスポも魅力的だが、走りの質でバージョンLをチョイスする。足回りの動きが良く、電子制御感のないスッキリしたフィールで、ホイールの静粛効果もあって静か。さらに2.5Lハイブリッドとの相性が良いからだ。
というのも、モーターアシストによる変速ショックのないスムーズな加速の一方、回転の上昇感などを含めて刺激や気持ちよさが薄いため、気がついたら速度が出ている的なフィールで、FスポーツよりもバージョンLの乗り味に合っているのだ。
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