コスパ良すぎじゃないですか…? インプレッサの最安グレード「ST」がすごすぎた
掲載 carview! 文:伊達軍曹/写真:SUBARU、編集部 187
掲載 carview! 文:伊達軍曹/写真:SUBARU、編集部 187
過日の佐渡島で行われたスバル「レヴォーグ レイバック」事前試乗会会場に、“隠し玉”的な試乗車が仕込まれていた。スバル「インプレッサ」の最廉価グレード、インプレッサ「ST」のFWD車である。
あまりにも地味な存在であるインプレッサSTは広報用車両も設定されていないため、その実力のほどは「購入した人だけが知っている」という、ある種秘密のベールに包まれていた。
だがいざ乗ってみると、インプレッサSTとは「……もしかして、これこそがインプレッサのベストバイかも?」との思いが頭をもたげてくるほどの一台であった。
インプレッサST(FWD)とは、最高出力145psの2L水平対向4気筒エンジンに同13.6psのモーターを組み合わせた売れ筋上級グレードと違い、同154psの純ガソリンエンジンを搭載するFF車だ。
e-BOXERを採用していないことに加え、装備類や加飾もきわめてシンプルな水準に抑えられているため、車両価格はベラボーに安い。具体的には229万9000円であり、これは「上級グレードである『ST-H』のFWDと比べると約70万円、中間グレードである『ST-G』のFWDと比べても約48万円安い」ということになる。念のため付け加えておくが、アイサイトはSTにも標準で付く。
そんな“安物”であるはずのインプレッサSTの走りは、そこそこの値段がする中間グレードや上級グレード以上に峻烈かつ軽快だ。
スペック表だけを見ると、最高出力145psの2Lエンジンに同13.6psのモーターを組み合わせたe-BOXERグレードのほうがなんとなく良さげに感じられるわけだが、あちらの車両重量は1530~1540kgある。もちろんヘビー級ではないが、まあまあのミドル級ウェイトなのだ。
それに対してインプレッサSTの車両重量は1380kg。これはe-BOXERグレードより150~160kg軽いということで、おおむね「力士1人分軽い」という計算になる。
この大相撲力士1人分の軽さと、e-BOXERのシステム最高出力と比べてさほど遜色のない出力を発揮する素直な2Lガソリンエンジン、そして「装備はショボいけど、基本骨格や足回りなどは上級グレードとまったく同じ(※タイヤ幅は少し違うが)」という事実により、インプレッサSTのFWD車は、現行型インプレッサならではの重厚で堅牢な感触の走りと、往年の軽量ハッチバックでしばしば感じられた軽快感とが、見事に両立するに至っているのだ。いや、これは本当に素晴らしいというか、ちょっと感動してしまった。
もちろん車を買う・買わないというのは「走り」だけで判断されるものではないため、装備類やビジュアルのことも考えなければならない。だが、もしも「走りの感触だけ」でインプレッサのグレード選びを行うとしたら、筆者はSTを選ぶだろう。
普段づかいには重要な「燃費」も決して悪くない。いや大して良いわけでもないのだが、マイルドハイブリッドとはいえさほど良好なわけでもないe-BOXERの燃費と、そう大きくは変わらないのだ。
e-BOXER系インプレッサFWD車のWLTCモード燃費が16.6km/Lであるのに対し、インプレッサST FWD車のそれは14.0km/L。もちろんe-BOXERのほうが低燃費であり、特に市街地モード(WLTC-L)では4km/Lほどの差が生じるが、高速道路モード(WLTC-H)では1.1km/L差でしかない。使い方次第では「どちらもだいたい同じぐらいの平均燃費」に落ち着く場合もありそうで、そうなると、インプレッサSTの「e-BOXERグレードよりウン十万円も安い」という車両価格が効いてくるわけだ。
以上のとおり、秘密のベールに包まれていた(?)インプレッサの最廉価グレード「ST(FWD)」とは、きわめて素晴らしい走りとまあまあな経済性、最新のアイサイト、そして抜群に手頃な車両価格という美点を備えた5ドアハッチバックであることがわかった。正直、かなりのおすすめモデルだ。
問題は「じゃあ、誰にとってのおすすめなのか?」ということだろう。
何をもって「一般的」とするかは難しい話だが、まあいわゆる一般的なユーザーがインプレッサSTを「ぜひ買いたい!」と思うことはほとんどないはずだ。いわゆる一般的なユーザーが走りの良し悪しに無頓着であるとは思わないが、「いくら走りがいいといっても、このさみしい内外装はさすがにちょっと……」というのが普通の感覚だろう。
であるならば、インプレッサSTの購入を推奨すべきひとつめのグループは「とにかく経済的で安い車が欲しい。安ければ、デザインとか装備とかはまったく気にしない。でも“軽”だけはイヤ!」と考えている人々だ。
通勤や送迎などの実務を遂行するために、何らかの車が必要である。できれば安く買いたい。しかし安価に買える軽自動車は衝突安全性などの部分で不安を覚える。だからいわゆる普通車で、安全装備が充実しているやつをできるだけ安く買い、経済的に維持したい――という、ある意味希少なニーズを、インプレッサSTは見事に満たすだろう。燃費はさして良好というほどではないが、車体価格の安さも考慮したうえでの「維持費総額」で考えれば、インプレッサSTはきわめて経済的な車である。そこにさらに「抜群の走行フィールと安全性」という大きなオマケも付くのだから、これはもう最高である。
もうひとつの推奨される人的グループは「ディープなカーマニア」だ。
いろいろな上級装備がゴテゴテと追加されることで重く・高額になる日本仕様の正規輸入車が好きになれず、「あぁ、本国仕様のしょぼいエンジンを積んだMT車が正規輸入されれば最高だったのに…」と日頃から嘆いているタイプのカーマニアに、インプレッサSTは超絶おすすめの一台となる。
トランスミッションは残念ながらMTではなくCVTだが、ここまで劇的に「安くて美味い素うどんのような新車」は、正規輸入車においても国産車においても、筆者が知る限りではインプレッサST以外には存在していない。この地味な5ドアハッチバックは、こう見えて実はとびきりのマニア向け案件だったのだ。
インプレッサSTは、前述した「安い車が欲しいけど軽はイヤ」という人にも大いにおすすめだが、個人的には、自動車というものの酸いも甘いも噛み分けたマニア層にこそ、その価値が伝わる一台だと感じている。
ぜひ。
<終わり>
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
レッドブルF1、新たな風洞を建設中。現在使用している古い風洞とコース上のデータに相違が発生
昭和色が強い三菱「ギャランGTO GSR」をプラモ感覚でモディファイ! いざとなればすぐに純正に戻せる仕様に、旧車愛が伝わってきます
【KINTONE】特定小型原付「KICK O City」の予約販売をクラウドファンディングで10/26スタート!
【このジュリアなんぼ?】高人気を誇る「アルファロメオ ジュリア」低走行のディーゼルエンジン搭載ジュリアは安い!
ドゥカティ、母国イタリアで初のモトクロス王者に輝く。オフロード部門進出しても強さ見せる
【レクサスLX史上初】ハイブリッドシステム搭載「LX700h」初公開 改良で「オーバートレイル」も設定
『特選!カー・SOS 思い出の名車 3』放送開始…車庫に埋もれた名車のレストア劇
カペタを見て憧れたマカオに挑戦……フォーミュラ・リージョナル日本王者の小川颯太「夢が現実になった」
WRC第12戦開幕、山場を迎えるトヨタとヒョンデのチャンピオン争い【セントラル・ヨーロピアン・ラリー プレビュー】
土砂崩れの国道 異例の「新トンネルで復旧します」完成まで5年!? 現場まるごとショートカット「上池原トンネル」ついに工事開始へ! 奈良
かつてライダーハウスとして活用されていた客車の今。北海道の『振内鉄道記念館』を訪ねた
「空飛ぶクルマ」時代の交通インフラは? 初出展のトルビズオン、空路整備サービス展示…ジャパンモビリティショー ビズウィーク2024
爆売れ「ランドクルーザー250」今買うべきか? 納車1000kmでソルトンが本音をぶっちゃける
ハリアーVSアウトランダー「PHEV決戦」 価格差約10万円…走り、装備、どっちがイケてるかチェックしてみた
なぜトヨタは「F1復帰」と言わなかった? GRとハースが組む莫大なメリットと、そこに込めた豊田氏の想い
【レクサスもチラ見】ホンダ高級ブランドが予告する新型SUV「ADX」の豪華な中身。日本発売はある?
【そこまでやるか】25年発売の未来カー「ホンダゼロ」の斜め上な“新技術”のウンチクをサラッと紹介
「開発者はみな楽器奏者です」改良版アウトランダーPHEVの“ヤマハ製オーディオ”を試聴して驚いた
ようやくスタートラインに立った…マツダ「CX-80」に試乗した率直な印象。ネガは払拭できたのか?
55万円差はアリ?ナシ? 専門店でしか買えない「クラウン スポーツ RS “ザ リミテッド マットメタル”」発売
レクサス「LX」改良で新開発ハイブリッド搭載! 発売は年末以降、オーバートレイル追加で価格も気になる
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!