「ホンダらしい」ホンダ車は健在か? ホンダミーティングで考えたこと
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久
もちろん本田技術研究所というくらいだから、それはこの会社の本来のあり方なのだと思う。実際、今回も現場からの声に「じゃあ、やってみろ」とトップがGOサインを出したボトムアップの結果としての面白い技術をいくつも見ることができたのは確かだ。そして、それがホンダの強みなんだという自負も大いに感じられた。
けれど今のホンダの市販車はどうだろう? 今、世の中から求められているど真ん中の商品を、ホンダはどれだけ出せているだろうか? 今回もそうだったが、ホンダの方々、研究所の方々は自らの仕事に対して「ホンダらしい」という言葉をよく使われる。けれど実際のところ、ユーザーは商品に対して「ホンダらしい」とは必ずしも感じていないというのが実際のところではないだろうか?
技術が先にあり、現場からのボトムアップで面白いものを生み出す。そのやり方は成功すれば、とても大きい。画期的な、それこそマーケットリサーチでは生まれないようなものが飛び出す。90年代に入るくらいまでのホンダは、そういうクルマを連発していたブランドだったと思う。けれど一方で、そのやり方は外した時には容赦ないほどに外してしまう。特に最近は、そういう例が多い。「NSX」も「ステップワゴン」も、生産を終えてしまった「CR-Z」も、皆そうではないだろうか?
あるいは、誰にどうやって売っていくか、誰も腑に落ちる説明をしてくれないのに、世に出てしまう新型「シビック」も、同じ問題を抱えていると言っていいかもしれない。クルマとしての出来は良さそうだが、それだけでは誰にも響かない。
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