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マツダ・デザインの秘密 SHINARIが見せた未来

マツダデザインの真髄はモデラーにあり!

マツダデザインの強みは、熟練のモデラーの力量に負うところが大だという。モデラーの重要性については他メーカーでの取材で心得ていたつもりだが、マツダのモデラーの実力こそがマツダデザインの勢いの源泉だと中牟田は言い切った。マツダで特徴的なのは、クレイモデルを作る粘土を一般的なものよりずっと固い材料を使用するところにある。イタリアなどのカロッツェリアでは、そもそも固い樹脂を用い、彫刻の要領で継ぎ接ぎが出来ない状態とし、その緊張感の中で表情豊かな張りのある面を作り上げるという。それに近い感覚でマツダデザインは形作られているのだと。

実際にエクステリアデザインを手がけたのは若い韓国人デザイナーの趙 庸旭(CHO YONG WOOK)。なかなか言うことを聞かない熟練の職人モデラーとのコミュニケーションに手を焼いたということだが、諦めない若さと職人芸が生んだ靱(SHINARI)が、見るもの心を打つ仕上がりを見せていたことは大いに注目していよいだろう。

「この靱(SHINARI)は、制約を設けない純粋なデザインコンセプトという位置づけで、衝突安全や歩行者保護などのレギュレーションは考慮に入れていません。その意味では現実的とは言えない部分も多いですが、とにからこれからのマツダデザインの方向性を自由に追求しています」英語でコミュニケーションが必要か? 身構えていると広島在住の趙君はごく普通に日本語で応対してくれた。

SHINARIは、是非手がけてみたいタイプのクルマだと前田デザイン本部長はきっぱりと言い切った。RX-8で4ドア4座スポーツカーという新しい提案を行なった新しいマツダのデザインリーダーは、ポストRX-8や21世紀のRX-7のあり方のひとつとしてSHINARIを捉えているようで、駆動方式は当然のことながらFRを想定。実際に走行可能なこのコンセプトカーは、リアドライブらしいプロポーションを持ち、動きもそれらしい雰囲気を漂わせていた。残念ながらボンネットは開けられなかったが、ひょっとしてRE? そう思わせる乾いたエキゾーストノートが印象的だった。

SKYACTIVの一角にまだREは含まれていないが、開発は鋭意進められていて、条件が整えばSKYACTIV-REとしてラインアップに加わることは十分に考えられるという。現時点では、マツダは2.5リッターまでの直4でSKYACTIVシリーズを構築していく予定だとしているが、もうひとつの金看板であるロータリーエンジンにブレークスルーが見つかれば、靱(SHINARI)はかなり現実的なプランとして浮上する。

それはともかくとして、SHINARIに盛り込まれたデザイン表現は、そう遠くない将来登場するニューモデルに活かされるのは間違いない。SKYACTIVによるパワートレインとシャシー/ボディの革新に、新しいマツダデザインが加わったピュアICEの画期的なクルマ。その一端は、次期デミオと思しきスケールモデルにホロスコープでバーチャルな提案を行なうワークショップで明らかにもされた。

このところの急激な円高為替環境によって、現在生産のほぼ全量を国内で賄うマツダはかなり苦しい立場に置かれている。SKYACTIVは、いろんな意味で衝撃的なインパクトを与えてくれたが、果たして時代がこの画期的技術展開を待ってくれるだろうか。120万台という比較的小さな生産規模のメーカーのエポックメーキングが、世界の自動車シーンにどれだけの影響を及ぼすことができるのか。激動の時代の移ろいにハラハラしながら、僕はただひたすらマツダの幸運を祈っている。

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