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ゴルフVI第2弾、河口まなぶ。未来を占う1台!

生産効率向上による収益性の改善

経済崩壊よりひと足先にVWは時代の空気を読んでゴルフVIを送り出したが、ご存知このスケジュールは前倒し。本来の6年を待たず、わずか5年でフルモデルチェンジした。

しかも成立ちはほぼ現行ゴルフVからキャリーオーバーし、図らずも時流にマッチしていて経済崩壊後の世の中でも渡っていけそうと感心する。二世代間のプラットフォーム共用はモデル戦略的に定番手法ゆえ時流と重なったのは偶然だろうが、スケジュールを前倒しした事実は興味深い。そしてこの背景には「生産効率向上による収益性の改善」という企業の事情が存在する。

現行ゴルフVはお金がかかっていた。03年登場時に直噴エンジン、6速AT、リア・マルチリンクサス、電動パワステ、レーザー溶接…全てを上級車並に贅沢に刷新したからだ。もっともその後、刷新したものは他車種・派生車種に効率よく水平展開されたが、当時はその後に始まる新世代モデルの基礎だった。

しかし、贅沢な刷新は生産効率に響いた。生産で手間隙がかかる構造のため利益率が低く、多くを生産/販売しても収益は上がらなかったと言われる。だからこそVWのCEOは1年前倒しを英断・即決したはず。

1年に100万台以上売れるクルマの生産効率の悪さを黙って見ているわけにはいかない。もともと生き馬の目を抜く業界で、特に今時は1年で世の状況が変わっても不思議じゃない。それに何よりこれは野望への第一歩、だ。

かくしてVWは1年早めてまで、同社の主役を代替わりさせたのだろう。それにしてもVWほどの大規模な会社が状況に応じてフレキシブルに大量生産車のスケジュールを変更する辺りは驚き。小回りが効いている。

生産効率向上の件は今回VWのエンジニアからも伺えた。彼らは「工場での生産のタクトタイムが以前より5%ほど短くなった」と胸を張る。たかが5%、されど大量生産を行うモデルにおいては重要な意味の数字だ。

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