【SUVはもう古い!】ランボの新種のスーパーカーは岩だらけの悪路も平気だった
掲載 carview! 16
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私が子供の頃に夢見たクルマはジープで、道なき道を走破する逞しさがお気に入りだった。その後、格好の良いスポーツカー、いわゆるスーパーカーがそれにとって代わったのだが、ジープ、正確に言えばオフローダーは常に頭の隅に残っていた。こうした願望は私だけでなく誰でも持っているようで、ここ数年に間に増殖したSUVはその現れかも知れない。ただしハッキリ言うと中途半端で恰好は良くない。スポーツカーは低くなければならばならないのだ。
ところが最近になってスポーツカーとオフローダーの両方のパフォーマンスを備えた新種が現れた。「ポルシェ 911ダカール」や「ランボルギーニ ウラカン ステラート」である。
>>日本では3000万円超え「911ダカール」は砂漠の冒険が可能なホンモノだった!ベースとなった「ウラカン」は2014年に登場したミッドシップスポーツカーで、すでに9年目に入っているが昨年も3113台が顧客の手に渡っている。この好調のスーパーカーに加わったバリエーションが「ステラ―ト」だ。このニューモデルはその名が意味するように舗装路だけでなく、ステラート(未舗装路)も走ることができるのだ。
確かに44mm車高アップ、トレッドを前30mm/後34mm広げ、アンダーフロアカバーやホイルアーチプロテクターなどで武装したウラカンは頼もしく見える。しかしリアルワールドでのオフロード走行はどうなのだろうか?
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そこで我々は標高2000mを超えるアルプスの峠道でのテストを敢行した。正確にはイタリアからフランスとの国境へ続くルートで、最も高い場所は標高2042mの峠、パッソ・デル・タナレッロだ。そこからこの地方の最高峰、標高2201mのモンテ・サッカレッロを目指す道は古代、地中海で採れた塩を内陸まで運ぶルートであった。
頂上付近の山小屋まで続く道路は通常は森林関係車両のみが通行許可で、登山客は徒歩で登るのだが、我々は特別な許可を得てドライブする。チェックポイントのイタリア監視員はランボルギーニがやって来たのを見て「なんてこった!」と叫んだ。
彼が叫んだのは正しかった。そこから先の道は険しいなんてモノではなく、何百メートルもの眼下に崖が落ち込んでいる。尖った岩がゴロゴロしている狭い道路にガードレールはなく、しかも所々崩れているのだ。都会育ちのクロスオーバーSUVなら尻込みするほどの光景なのだ。
しかし、BS製のオフロードタイヤ(前235/40 R19、後285/40R19のデューラー)は確実に路面をグリップ、マタギ(日本の狩猟生活者)が苦労するような登山道を正確にトレースして行く。ちなみにこのBSタイヤはランフラットで、もしパンクしても最高80km/hでおよそ80kmも航続できる。
オフロードカーで深い轍が出来上がってしまった道路を慎重に進むが、時折フロアアンダーに岩が当たる音が響いてくる。カーボン製のアンダーフロア・プロテクターが無かったらと思うとゾッとする。
一方、ラリーコースのようなシチュエーションでは後輪駆動キャラクターをもったストラートはスロットルちょっと踏み込めばコントロールの効いたテールスライドでコーナーをクリアする。もちろんここでは車載のLDVI(電子制御ボディコントロール)がESPを適正に介入させ、常に正しい姿勢を保っている。
下山してオンロードコースへ戻ると、ステラ―トは何事もなかったようにスーパースポーツカーへ戻った。正確に言えば最高速度は260km/hに抑えられているが、0-100km/hは3.4秒、200km/hまでは9.8秒でこなす。
驚いたことにオンロードでの取り回しは「ウラカンSTO」より劣っておらず、乗り心地も快適だった。二日間に渡っておよそ200kmの登山路を走るツァーは無事に終わった。帰り道で納得したように「ベッラ・マッキナ!」と叫んだ例の監視員の笑顔が印象的だった。
ウラカン ステラートは過酷なオフロードテストでその逞しいタフネス振りを証明してくれた。本当の意味でスーパースポーツカーとオフローダーの背反するパフォーマンスを一台に集約したステラートの日本での価格は、ウルスを上回る3116万5367円! 高いか安いかはともあれ、世界限定の1499台はすでに完売に近いらしいので、興味のある方は急ぐべきだ。
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<おわり>
試乗:T.ガイガー/キムラ・オフィス
解説:木村好宏/キムラ・オフィス
写真:ランボルギーニ
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