夏タイヤ性能も高いミシュランのクロスクライメートだが、オールシーズンタイヤの過信は禁物
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:日本ミシュランタイヤ 2
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:日本ミシュランタイヤ 2
肝心の雪の性能は一般道で試すことができた。
高速道路のドライ路面では、ハンドルのシッカリ感に加えて乗り心地の良さ、正確には収まりの良さを確認。ギャップを乗り越えた後の振動の収まりが速く、スッキリした乗り味だ。ただし、テストコースでは確認できなかったが、ザラついた路面などでスタッドレスタイヤになはい「ゴー」という耳につく低周波音が出る。オーディオを掛ければ気にならない程度だが、夏タイヤとは違った音質で、V字のブロックパターンが関係していそうだ。
道中、高速道路の冬用タイヤ規制のチェックは当然ながらクリアして、雪道に入った。第一印象は、高速道路での比較的硬めのタイヤの乗り味から予想していたよりグリップしてくれる、というもの。圧雪路面ならかなりの安心感で走れるし、登坂力もある。シャーベット路面はむしろスタッドレスより強いのでは? と思えるほどだった。しかしながら、調子に乗ってはいけない。
加減速の縦方向グリップは強いのだが、その感覚で曲がろうとすると、横方向がグリップしない。滑り出しも唐突で、コーナーリングは心配性レベルで慎重に行った方が賢明だ。それと、凍りかけたような固めの轍(わだち)からの脱出に苦労する。横グリップが足りないので、わだちの壁を脱出する力が弱い。こんな時は速度を落としてハンドルを多めに切って脱出するのが賢明だろう。
そしてアイス路面はやはりグリップしづらい。ためしにトレッド部のゴムを触ってみたところ、皮膚が吸い付くような粘り気があって氷も噛みそうだが、実際は細かいサイプでエッジ効果を発揮するスタッドレスタイヤとは比較にならないレベルだ。
また、前進は良いが、バックではV字型ブロックパターンが影響するのか、圧雪路面でもグリップしにくい。圧雪路の下り斜面の駐車場に頭から駐車したら、バックで出られなくなるなんてことが考えられるので注意が必要だ。
要は“エナジーセーバー並のドライ&ウェット性能があるのに想像以上に雪道も走れる”というのがクロスクライメートで、スタッドレスタイヤ感覚で走ると痛い目を見る。逆に雪道を走り慣れているユーザーなら、このタイヤの特性を上手く使いこなすことは可能だろう。
結論は、あくまでもサマータイヤを通年で履いていて、年に数度の降雪にも対処したいユーザーに向けたタイヤ。ちなみに僕のようなタイプにはピッタリでもあり、性能にも満足できた。クロスクライメートは全額返金保証プログラムの対象にもなっている。というわけで現在、早速履いてみているところだ。
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