【JAIA】マクラーレン 570S…「ウキウキ感がたまりません」「快適なスーパースポーツ」

乗りこなすポイントは胆力かも…制作Y

スタッフが向こうからこっちに運んでくる段階で、「冗談みたいなクルマだなあ」と思ったのが第一印象である。湾曲したヘッドライト周りのデザイン、唸るエンジン、大きく抉られたドア周りの造形。非日常感はランボルギーニ ウラカンの比ではないだろう。マルエツに買い忘れの干し椎茸をチョイと求めに行くどころか、明治屋に横付けして舌がもつれそうな名前のチーズをササッと買いに店に入るのすら憚られるフォルムだ。

それゆえ上方に開くディへドラルドアを颯爽と開けて出てくる人物は、それなりの格好をしていなければならない。白いロンドンブーツにベルボトム、そしてきらびやかな装飾とファーがつけられた白いスーツに身を包むぐらいの覚悟を持つ男……。そう、ちょうど高見沢俊彦（※THE ALFEE）ぐらいの「まつり」感はデフォルトで必要だろう。このクルマを所有するということは、来る日も来る日も“星空のディスタンス”をし続けなければならないのと同じ勇気が試される。所有する資産力を持っていたとしても、だ。

ダッシュボード中央のパネルは丸いエアコンの吹き出し口と相まって「ギョエー」という顔にしか見えないけれど、タッチ式のパネルは十分に使い勝手が良い。フォントもステキだ。モノを置くスペースもそれなりにあるあたり良心的である。キテレツな位置にあるシート調整機能は若干シュールに思えたけれど。

時間の関係でごくごく短距離のドライブしか叶わなかったのだが、固いのに最終的にはフワッと収束させる英国流の乗り心地の片鱗は味わうことができた。ガレージの奥にしまっておくのはもったいない。日常使いでも十分楽しめるだろう。問題はこのクルマに似合う派手な衣装を颯爽と着こなせるプレッシャー（しかも毎日）に耐えられるかどうか、己の胆力に懸かっていることかもしれない。