新型アルトの完成度は? まるも亜希子が試乗
掲載 更新 carview! 文:まるも 亜希子 /写真:篠原 晃一
掲載 更新 carview! 文:まるも 亜希子 /写真:篠原 晃一
ディズニーランドを横目に、舞浜の街中を抜けて首都高にのり、幕張を目指した。加速フィールには、とくに力強さも力不足も感じない。いたって普通に、思った通りに操れるし、静かで振動が少ないのがいい。乗り心地にしても、ガッシリというよりはソフトで穏やか。でも、コーナリングが怖いほどではない。高速道路では、加速時には大きな音でめいっぱい頑張る感じになるが、クルージング状態に入ればいたって快適だ。アルトと共にする暮らしには、きっとこの「普通さ」こそが大切で、じんわりと満足感につながるのかもしれない。
ボンバン盛況の時代は過ぎ、日本の軽自動車の主流はすでにハイトワゴン、スペース系になっている。アッパークラスからのダウンサイジング需要や、子育てカー需要なども、そこが一手に引き受けている状態だ。つまり目の肥えたユーザー、便利装備を欲しがるユーザーに応えるため、常に新しい技術や装備、高い質感をと、アップデートが求められる。
でもその一方で、軽自動車の安さ、気軽さ、サンダル代わりのフットワークに魅力を感じるユーザーも根強い。アルトはやはりそこを受け持つクルマでなければならないし、その上で時代が求める低燃費を追究した新型アルトは、全車に必要な安全装備が与えられたら、もう100点満点以上の出来ではないだろうか。
そして日本の軽自動車は、実は日本国内だけのものではない。ゆくゆくはインドなど新興国でも走ることになる。とくにスズキはインドのトップメーカー「マルチスズキ」であり、このアルトも現地の人気モデルのひとつである。ただ某メーカー談では、「日本の最新の軽をそのままインドに持って行っても、オーバークオリティすぎてまったく採算がとれない」とのこと。現にスズキも、80年代の軽バンをインドでは今も販売している状況だ。
となると、今後新興国参入を目指すメーカーの軽自動車づくりがそれを見据えたものになるのか、それともまったく切り離して考えるのか、それによって次なる日本の軽自動車像は変わってきそうだ。また、660ccという排気量規制は、とくに燃費面でもう限界だと言われている。ようやくコンパクトカーに燃費が追いついた軽自動車だが、次にとる策はあるのだろうか。アイドリングストップか、EVか、はたまた2気筒化か!? 排気量引き上げの可能性はどうだろう。いずれにしても、日本の軽自動車は「安い、便利、低燃費」の3つを死守していくことが、生きる道であることは間違いない。
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