アベンシスワゴン試乗 玄人好みの走り味!
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:小林 俊樹
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:小林 俊樹
とはいえじっくり見ると、日本じゃ客を選ぶかも…という部分が見えてくる。まずはインテリアで、ツヤのある黒い樹脂は、触ると全面ハードパットで、日本人的にはそれほど高い品質だと感じないだろうし、造形もややシンプル過ぎる。シフトやオーディオの配置は常識的で使い勝手は良いが、工夫がないと思う人もいるはず。クラウンやマークX的な“おもてなし感”を期待する人には響かないだろう。
走りも同様。素材の良さは分かるが、過剰演出はない。凄く静かだとか、いきなりスポーティだとかその手の“味の濃さ”はないのだ。つまり味はいいし、本格的は本格的だが、本格的なインドカレー。日本じゃやっぱりルーがこってりの欧風カレーのがウケるわけで、それと同様の限界を感じる。
自分たち自動車ジャーナリスト好みには仕上がっているけど、一般ユーザーウケは謎なわけで、結局のところ「俺たちって普段なに言ってるんだろ」という部分にも思い至るのだ。時速100km以上でバンバン走る分には間違いなくこっちの方がいい。でも、大概のユーザーは一般道をゆっくり走った時の「豪華さ」や「便利さ」や「おもてなし感」を求めるわけで、そういう意味でコイツは若干ツライ。まさに俺たちの存在意義を問うてくるようなクルマなのだ。
でも、これが250万円で買えるのは間違いなく朗報。同様に本格欧風コンパクトのスズキ・スプラッシュが130万円ってのも凄いが、少しでもこれで「本当の走る歓び」「走り味」に目覚めるお客さんが増えてくれたらいい。というわけで、今までの日本車じゃちと不満、あるいは欧州車の走りの良さを知りたいアナタ! これは絶対乗ってみるべき一台ですっ!
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