現行ボルボ唯一のセダン、新型S60はドイツ御三家と比べて実際どうなのか?
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:菊池 貴之
全ての内燃機関を2リッター直列4気筒ターボで統一して久しいボルボだが、T5は2種類あるガソリンモデルの中でハイパワーなグレードとなる。最高出力は254PS/5500rpm、最大トルクは350Nm/1500-4800rpm。駆動方式は前輪駆動で、トランスミッションには8速ATを組み合わせている。
参考までにエントリーモデルは「T4」。そして今回試乗した「T5」を挟み、このエンジンにスーパーチャージャーを追加した「T6」がラインナップするのはエステートである「V60」と同じだ。そしてS60の場合、日本ではT6のPHEV仕様である「T8」をラインナップしないようだが、代わりに30台の特別限定車として「POLESTAR ENGINEERED(ポールスター エンジニアード)」が導入されることとなった。
そんなS60 T5の魅力は、何といってもシャシーだ。SPAによって実現した伸びやかなボディ。スリーサイズは全長4760×全幅1850×全高1435mmで、先代比では125mm長く、45 mm低く、幅はエステート同様日本市場の要望を受け入れて、15mm短くなった。またリアの居住性に影響するホイールベースは100mm伸ばされ、「ニークリアランスは同じFWDセダンであるA4よりも広い」と、ボルボの鼻息は荒い。
エステートにも負けない特徴的なリアビューもその美しさを際立たせているが、何より乗り味がいい。その乗り心地が明らかに、同じ60系のエステートであるV60や、SUVであるXC60より良くなっているのである。というのもボルボは、この60系と90系のシャシー、リアのスプリングにリーフ形状を採用している。もっともそれはスチール製ではなく、ファイバーコンポジットによる軽量な板バネなのだが、筆者はまだこれを、ボルボがこなしきっていないように感じていたのである。
車重が重たく、必要とあらばエアサスまで用意するXC90だと、その乗り味はしっとり感を保つ。しかしより若々しいハンドリングを必要とするV60/XC60だと、ラゲッジに大量の荷物を納めるキャパシティも含めて、このリアサスペンションがやや硬い。それこそ不整地では、まさに“板”のような乗り心地になることがあるのだ。
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