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アストンの次期ボンドカー「DB12」はなぜ偶数名? 意外な理由と試乗まとめ

13が嫌われた…それとも大幅改良相当だから?

ここ最近、特にプレミアムなニューモデルはもはやモーターショーではなく、様々なイベントでアンベールされるのが潮流になってきたが、アストンマーティンの最新モデル「DB12」も、今年のカンヌ映画祭で初公開された。

DB12は2016年に登場した「DB11」の後継モデルだが、これまでのような奇数ではなく偶数が与えられていて、これは量産モデルとしては1965年の「DB6」以来の出来事だ。この文字通りの“番狂わせ”については諸説があるが、「13」が嫌われたとか「11のフェイスリフトなので、13ではなく12」などと聞こえてくる。

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確かに接着工法のアルミ製ボディ構造は共通で、ドアやルーフはDB11からのキャリーオーバーなのだ。また、ボディサイズも全長4.73×全幅2.06m、ホイールベースは2.81mで、1.69トンの空車重量などもほぼ同一である。

ただしフロアの強化、エンジンマウントやリアのバルクヘッドの強化などによって捻じれ剛性は7%向上している。タイヤもアップグレードされ、フロントに275/35ZR21、リアには315/30ZR21のミシュランパイロットスポーツが標準装備となった。

内外装やパワートレーンは全面的に手が入る

エクステリアデザインはリア部分などに現行DB11の面影が残るが、ボンネットがフェンダー一体型のクラムシェルタイプから通常の構造に変わったこともあってその印象はかなり違って見える。さらにフロントグリルは低くワイドになり、全体的な印象はフェラーリやランボルギーニなどのエグゾチックスーパースポーツカーのようだ。

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一方、全く新しくデザインされたインテリアはワイドな水平基調のダッシュボードがキャビンを広く見せている。リアへ長く伸びたセンターコンソールには10.25インチのタッチスクリーン、その後方にセレクトレバーなどのスイッチ類が整然と並んでいる。

インフォテイメントはアストン独自の新しいOSを搭載。アップルカープレイやアンドロイドオートなどとのオンライン接続も可能で、ソフトウエアのアップデートはOTA(オーバー・ジ・エア)で完結する。オーディオはハイエンドのバウアーズ&ウィルキンス製の1170Wのスピーカー15個が配置されている。

一方、心臓となるパワートレーンも一新されている。ベースはこれまで通りAMG製の4.0L V8ツインターボ(メルセデスAMGのM177ユニット)だが、プロファイルを変更したカムシャフト、大径ターボや新設計の2段階クーリングシステムなどで最高出力680馬力、最大トルク800Nmへと向上している。

ちなみにHEVやmHEVなど電気の助けは一切借りない古典的なパワープラントだが、ドライブロジックは新たに5段階となっている。組み合わされるトランスミッションはZF製8速ATで、短縮されたシフトタイミングや3.083と低くなったファイナルによって0-100km/h加速=3.6秒(※4秒)、最高速度=325km/h(※309km/h)とハイエンドスーパーGTに相応しいダイナミック性能を得ている。※はDB11の数値。

完成度の高い走行性能や快適性を見せる“次期ボンドカー”

テストコースはモンテカルロ郊外に続くオートルートおよびラリーで有名なアルプスの峠道である。トランスアクスルレイアウトによって48対52と理想的な重量配分を与えられた2+2クーペはDB11比でトレッドがフロントで6mm、リアで22mm拡大し、オートルートでは格調高いインテリアと豊かなサウンドを楽しめる快適なハイスピードクルージングを提供してくれる。

さらにWRCのスペシャルステージにも使われる峠道では新たなキャリブレーションを与えられたEPS(電動パワステ)の適度に軽く、路面からの確かなフィードバックを伝えるステアフィールによって、ヒラリヒラリとサイズと重さを感じさせない軽快でスポーティなハンドリングを見せる。

ちなみにESP効果は4段階にプリセット可能で、路面状況とドライバーの腕前によっては絶妙なドリフトアングルも可能だ。またフロント400mm/リア360mmのローターをもつベンチレーテッドディスクブレーキは長く続く下り坂では頼もしい制動力と絶妙な制動フィールを発揮してくれた。

このDB12は欧州では今秋からデリバリーが開始される予定だが、まだ価格の発表は行われていない。予想ではおそらく23万ユーロ(約3600万円)と言われている。一方、日本では5月に価格も発表され、こちらは2990万円~となっているが、通常選ぶオプションなどを合計すると、同様に3700万円前後になるという(※編集部調べ)。

ところでアストンマーティンはこのDB12の発表直後の5月に中国の吉利汽車(ジーリー)へ、2億3400万ポンド(およそ430億円!)で17%(4200万株)の株を売却し、吉利は第3位の株主となった。この芳醇な資金を得て110年目を迎えた同社は一層の安定した企業運営が期待される。オープンタイプのヴォランテもスケジュール通り来年中には発表されるだろう。次期ボンドカーとしても十分な活躍をするに違いない。

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