今やクルマ界の常識。メルセデス・ベンツという名前の由来は?
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office
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今回のイベントでニースが選ばれたのは単に風光明媚なだけでなく、ここが「メルセデス誕生の地」であったからである。20世紀の黎明期、ここには欧州各国から富裕層が集まり、新しく、同時にプレスティッジ製の高い自動車がステータスシンボルとなっていた。そして当然のように性能を競い合うレースが始まった。
当時は専用サーキットなどは存在せず、公道を利用するロードレースやヒルクライムだった。ここで登場するのがボヘミアの貴族で外交官でもあったエミール・イエリネックという人物である。エンジニアではないが非常に熱心な研究家で、高い技術を持っていたダイムラー社のモデルに興味を持ち、レースに使用していた。しかし不満な点も多く、まずはユーザーとして、後にはインポーターとしてアドバイスを行ったのだ。
改良点はエンジン性能向上、およびシャーシの改善で、取り回しを良くするため、すなわち旋回性能を上げるために低重心化や、ホイールベースの短縮などを提案した。ダイムラー社の主席エンジニアであったウィルヘルム・マイバッハはこうした提案を真摯に実行した。その結果、ダイムラーはニースばかりでなく各地のレースで成功を納め、ダイムラーの代理権を持っていたイエリネックのところには注文が多く舞い込んだのだ。
そこでイエリネックはダイムラー社に72台の大量発注を行ったが、それはダイムラー社 (DMG)にとって年間生産台数の60パーセントに相当する数であった。その時にイエリネックが提案したのが、自分のアイデアが採用されたモデルに娘の名前「メルセデス」を付けることで、それが今日のメルセデス・ベンツに繋がって来たと言うわけだ。※DMGは当時の社名「ダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト」
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