新型レンジローバー オールアルミの異次元
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:ジャガー・ランドローバー・ジャパン
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:ジャガー・ランドローバー・ジャパン
低められた全高、絞り込まれた前後、傾斜の強まったAピラーなど、空力を意識した造形が新型の特徴だ。とはいえそれらはすべてごくごく控えめな変化にとどまっている。フローティングルーフやクラムシェル型ボンネットフードといったアイコン、そして何よりエレガントなフォルムを見れば、レンジローバーであることがひと目でわかる。新しいのにどこか懐かしく、懐かしいのに新鮮。新しい時代の息吹を表現するのがイヴォークの役目だとすれば、新型レンジローバーのデザインコンセプトは、過去と現代、未来をシームレスにつなげることにある。
特徴的なサイドフェンダーベントもレンジローバーのアイコンのひとつだが、新型のそれは機能部品ではなく、レンジローバーらしさを主張するデザイン要素へと役目を変えた。従来はここからフレッシュエアを取り入れエンジンに送り込んでいたのだが、渡河最大水深のさらなる増加を目的に空気取り入れ口をボンネットフードとグリルの隙間に移動。その結果、最大900mm(従来は700mm)の水深でも走行できるようになった。
路面状況に最適な特性を選べる「テレインレスポンス」の進化も大きなニュースだ。従来は・舗装路、・草/砂利/雪、・泥/わだち路、・砂地、・岩場といったモードを手動で選択する必要があったが、新型レンジローバーが搭載する「テレインレスポンス2」は、車速、ヨーレート、舵角、路面の滑りやすさといった情報を1秒間に100回もセンシング&計算することで自動的に最適なモードを選択。ドライバーによるモード選択の必要がなくなった。
従来と同等かそれ以上の数値を確保したアプローチ/デパーチャー/ランプブレークアングルや軽量化効果によって、悪路走破性はさらなる高みにまで上り詰めた。ランドローバー社の試乗会らしく、砂丘や岩場、急勾配、急傾斜といった数々の難所が用意されていたが、そんな場所を新型レンジローバーはあっけなく走りきって見せた。しかも、そういったクリティカルな場面ですら、豪華かつセンスよくまとめられた室内は極上の快適性を維持する。その姿は、ダニエル・クレイグ演じる悩み多き現代の007ではなく、とてつもなくタフな仕事を涼しい顔でこなしてしまう過去の007を思い起こさせる。
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