STI渾身のR205、SからRで走りが変わった!
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:篠原 晃一、株式会社SUBARU
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:篠原 晃一、株式会社SUBARU
滑りやすい路面、エスケープゾーンのないコースという状況が状況だけに、ひとまずはフロントのグリップ限界を探りながらの低リスクドライビングをしてみたのだが、フロントのグリップレベルは予想以上に高く、なかなか限界を迎えない。たとえアンダーステアが出ても、だらしなく一気にアウトに膨らんでいってしまうようなものではなく、フロントには切り増しによってノーズをインに引き戻す余力がしっかり残されている。ヤバイ!と思ったら、ステアリングを切り増せばいいのだから、当然ながらコースアウトのリスクは小さくなる。
そんな安心感に包まれながら次第にペースを上げていくと、もうひとつの美点が浮かび上がってきた。クリッピングポイントを過ぎて加速していくとき、ベース車はアクセルを踏みすぎると唐突なオーバーステアになりがちだった。腕に覚えのある人なら、そんな特性を活かして自由自在に姿勢コントロールすればいいのだが、普通の人にとってはちょっと危なっかしい面があった。その点、R205はリアが粘るため思い切って踏んでいける。そしてここからがR205の真骨頂なのだが、踏んでいってもプッシングアンダーが出ることなく、前後のバランスを絶妙にバランスさせながら、滑りやすい路面をものともせずコーナーから立ち上がっていくのだ。
R205には、スプリング、ダンパー、タイヤ、フレキシブルタワーバー、リアサス一部のピロボールブッシュ、フレキシブルロードスティフナーといった専用パーツが奢られているが、それらを単に取り付けたからこうした特性ができたと考えるのは間違いだろう。どんな走りの特性にしたいかを明確に設定し、それに向けセッティングを詰めていく。その課程で必要とされたのが上記のパーツなのだ。辰巳氏は「特別な人、特別な場所でしか感動を味わえないクルマではなく、誰もが日常的に感じられる最高のドライビングプレジャーを実現したかったんです」と話している。
実際、後日一般道でも試乗したのだが、R205は予想を遙かに上回る快適な乗り心地と、走る楽しさを与えてくれた。ちょっとした加減速、交差点でのステアリング操作、路面の凹凸を乗り越えた際の気持ちにいいソリッド感など、上質感、味の濃さはハンパじゃない。ランサーエボリューションと比較されがちなインプレッサ WRX STIだが、R205に関してはゴルフRと比べて買うクルマだろう。そう考えれば、473万5500円という価格は十分に納得できるし、またそれだけの価値=中身をもっていることは間違いない。受注は4月25日まで。気になる人は急いだ方がいい。
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