マカンのEVモデルが登場まで秒読み! スペックやプロトタイプの走りを速報
掲載 更新 carview! 16
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ポルシェ社長のオリビエ・ブルーメは2030年までに全製品の80%を電動化(BEV)にすると約束している。しかし現在販売されているBEVはまだ「タイカン」けだけで、しかも昨年の販売台数は3万4800台、わずか11%で目標達成には程遠い。
そこでポルシェは「718」シリーズと「マカン」の電動化を急いでいる。特に期待されるのが来年登場予定の「マカンEV」である。
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ミドルサイズのマカンシリーズは昨年の総販売台数のおよそ28%にあたる8万6724台を販売している。それゆえにポルシェは本格的なBEV普及の第一歩として、今年の暮れにいよいよこの電動マカンのアンベールを行う。本来このモデルの発売は今年中であったがVWグループ内でポルシェに提供されるはずのソフトウエアが遅延、その結果、市場への導入は来年後半へと延期されてしまった。
このマカンEVはこれまで世界各国での数百万kmに及ぶ開発テストを終えているが、ポルシェはアメリカ西海岸で行われた最終工程で、我々ジャーナリストにステアリングを握るチャンスを与えてくれた。

マカンEV(プロトタイプ)
地下ガレージの奥でカバーされていたマカンEVはカムフラージュを施されているが、そのシルエットは現行マカンとほとんど変わらないが、ヘッドライトはタイカン風になった。
また、フレキシブルなPPE(プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック)採用のおかげでホイールベースがわずかに延長され、ボディ後半の傾斜が現行マカンよりもなだらかになり、空力特性も向上しているようだ。
一方、インテリアは大きく変化している。残念ながら写真をお見せすることはできないが、フルデジタルコックピットに加えて、ようやくARナビゲーションを備えたヘッドアップディスプレイが装備された。前述したように延長されたホイールベースによって、後席足元には余裕ができたようだ。

<写真:現行マカンのコックピット>
我々に提供されたのはおそらく「ターボ」と呼ばれるはずのトップモデルで前後の電気モーターによるシステム出力は最高出力450kW(612馬力)、最大トルクは1000Nmを発生する。 ポルシェによればマカンEVのダイナミックパフォーマンスは0-100km/hが4秒、最高速度は250km/hに達する。
また搭載されるリチウム・ニッケル・マンガン・コバルト電池ユニットの容量はおよそ100kWhで、注目の航続距離はおよそ311マイル(約500km)とタイカンと変わらない。また800Vのアーキテクチャーを採用しているお陰で270kWのDC急速充電機を使えば10分で100km分の充電が可能だ。
タイカンと違ってシングルスピード(1速)ギアを装備したデュアル・モーター走りは典型的なスポーツEVで、ドライブペダルの動きに敏感に反応し、V8搭載のピックアップを後方に追いやってロサンゼルスの市街地を抜ける。

マカンEV(プロトタイプ)
この豪快な加速に伴ってちょっとタイカンのような人工サウンドが響く…ポルシェはスペースシャトルのような電子音ではなく、あくまでもスポーツカーのそれを追求しているのだ。タイカンよりもやや低めでパフォーマンスカーを彷彿させる“音”だが、まだ最終段階ではなくチューニングが必要らしい。
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ポルシェがワンペダルブレーキと呼ぶ、強力な制動力を生じさせる回生システムのおかげでドライプペダルを全く普通のブレーキのように使える。こうしたパフォーマンスの向上はパワーエレクトロニクスに次世代半導体のベースにシリコンカーバイト(SiC)を採用した結果である。
2トンを軽く超えるヘビー級ボディにも関わらずステアリングは正確無比、しかも路面からのフィードバックは確かで、6度の舵角をもつ後輪操舵や、床下に搭載されたバッテリーによる低重心の助けもあって郊外の山間路ではSUVとは思えないほどのスポーティなフットワークを見せる。
またターボに標準装備される2チャンバーのエアサスペンションはロールを抑えたハンドリングと同時に素晴らしい乗り心地も提供する。来年後半からのデリバリーが予定されている量産モデルの試乗が楽しみだ。
ちなみにこれだけの魅力を備えたマカンEVはそれなりの価格が要求されるはずで、予想ではベースモデルがおよそ7万ユーロ(約1110万円)と言われている。

マカンEV(プロトタイプ)
レポート:G.ケーブル/キムラ・オフィス
まとめ:木村好宏/キムラ・オフィス
写真:ポルシェAG
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