大柄な高性能車では味わえない快感…! 伝統のホットハッチ「ポロ GTI」試乗記
掲載 carview! 文:伊達軍曹/写真:市 健治 28
掲載 carview! 文:伊達軍曹/写真:市 健治 28
乗り心地は「やや硬めだが十分快適である」というニュアンスに変わり、エンジンのパワー感およびトルク感も、そして“音”とレスポンスも「これぞホットハッチ!」と叫びたくなるものへと変化する。7速DSGをDレンジに入れっぱなしにしていても何ら不足はなく、手元のパドルシフトで任意のギアを選択しながら山坂道を走れば、そこはもう運転好きにとってのワンダーランドだ。
「この感覚は……何かに似ている」と深く考えるまでもなく、改良型ポロ GTIの50km/h以上の領域における走行フィールは、まさに往年の欧州製ホットハッチ各車とおおむね同じだ。小さく軽いモノが、身の丈以上に強力なパワーユニットの助けを得て右へ左へ、そして前へと俊敏に動いていく様は、大柄な高性能車では決して味わえない種類の快感である。
とはいえ往年の欧州製ホットハッチ各車と確実に異なるのは、多少飛ばし気味に山坂道を走ったところで「前輪が外側へ逃げていくような感触」は皆無であり、「ちょっとスキール音が出ちゃうかな?」的な局面において、スキール音のスの字も聞こえてこないことだ。
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これは電子制御式ディファレンシャルロック「XDS」が見事に働いてくれるゆえの現象であるはずだが、いずれにせよ筆者のような一般ドライバーは「俺、運転がうまくなったなぁ……」という勘違いとともに、大満足の通常ドライビングならびにスポーツ調ドライビングを完結できる。
ドライビングプロファイル機能を「スポーツ」にすると、それでなくてもレスポンシブでパワフルなエンジンはさらにギンギンになって楽しいのだが、“スポーツセレクト”シャシー付きスポーツパフォーマンスキット装着車の場合はアクティブダンパーも激硬になってしまうため(※カスタムモードで設定を変えることもできる)、筆者個人は、ポロ GTIを買ったとしても「硬いほうの足」を選択することはないだろう。だが乗り心地についての感じ方は個人差がデカいため、人によってはこの硬さが気にならない可能性もある。
以上のとおり改良型フォルクスワーゲン ポロ GTIは、タウンスピードにおける乗り心地の硬さとトルク感の希薄さが気になるところではあるが、「スポーツモデルなんだから、そんなことは特に気にしないよ!」という人であれば、ミドルスピード以上の領域において最上に近いハンドリングと加減速フィールを堪能できるだろう。燃費も、決して悪くはない。そのため「自分は車をキビキビ走らせるのが好きなんだ!」と心の中で考えているすべての人に、この車をおすすめしたいと思う。
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