利用者も業界も政治もナメすぎ! 事故多発の電動キックボードに下る天罰とは?
掲載 carview! 文:編集部 122
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電動キックボードの事故報告が続いている。飲酒運転、ひき逃げ、死亡事故など、社会に衝撃を与える深刻な事故やトラブルが連日報道されているのは目を覆わんばかりだ。では電動キックボードを取り巻く環境のどこに問題があるのだろうかーー。
>>【批判の嵐!】電動キックボード法改正は天下の愚策? より安全なタイプも存在
まず最大の転機は、2023年7月1日の改正道路交通法の施行により、「特定小型原動機付自転車」(以下、特定原付)というカテゴリーが新設されたこと。これはいわゆる道交法の規制緩和で、電動キックボードをはじめとする一定の基準を満たした乗り物が、
・免許不要(ただし16歳以上に限る)
・ヘルメットの着用は努力義務
・時速6キロ以下では一部の歩道も走行可能となる
など、敷居が極端に低くなったのだ。端的にいえば、小型原付に区分される電動キックボード等の乗り物は、自転車並みの気軽さで乗れるようになったのである。
もちろん、規制緩和にはいい面とそうでない側面がある。いい面は、マイクロモビリティ市場の発展による経済の活性化、新たな交通手段の獲得、利便性の向上などが挙げられるだろう。とはいえ性善説で捉えればメリットももちろん多いのだが、そう簡単にはいかない側面もあるから問題が起きているのが事実だ。
例えば、自転車ユーザーも正しくルールを守って使用しているユーザーがいる一方、歩道の走行、飲酒運転、逆走、信号無視、ながら運転、歩行者との事故やトラブルなど、気軽に乗れることに甘んじて交通ルールを軽視しているユーザーがいることを、多くの人実感していることだろう。規制緩和により誕生した特定原付区分の電動キックボードは、自転車に近い存在となった。交通ルールの遵守が各々のユーザーのモラルに委ねられることとなったとも言える。
その結果、懸念される大きな問題が、仮に交通違反を犯しても自動車やバイクの免許に影響しない、という考えが広まってしまったこと。「飲んだら乗らない」と自動車やバイクの使用を控えていたユーザーも、規制緩和で敷居が低くなったことで、電動キックボードならOKという風に捉えるユーザーは、残念ながら今後増えるだろう。実際に自転車がそうだからだ。

交通ルールが複雑であることも、乱用を助長する要因となる。例えば、特定原付区分の電動キックボードは、最高速度が20km/hに制限され、基本は車道の左側を走行することが義務付けられている。
しかし、時速6km/h以下でそれを示す走行ランプ点灯中は、歩道を走行できるとされている。だが、ここでいう歩道というのは、道路標識で自転車等の使用が許可されている歩道に限られ、どの歩道でも走行していいわけではない。ところが多くの報道では「6km/h以下なら歩道もOK」という不十分な情報がすでに広まっている。
もうひとつ、電動キックボードの走行安定性の低さも事故やトラブル増加を助長するリスク要因となる。電動キックボードを実際に運転してみればわかるが、第一に安定性が低い。これはタイヤが小さいこと、タイヤからハンドルまでが長いことなどが要因で、片手運転など怖くてできないレベルだ。この点については車輪が何倍も大きい自転車よりも遥かに危ない。
急ブレーキにより体勢が不安定となることも無視できない。電動キックボードは基本ABSなどのブレーキ制御は備わってなく、時速20km/hから急ブレーキをかけた場合、前側に重心が移り、バランスを崩しやすい。路面に凹凸があったり、砂や砂利で滑りやすくなっている路面では、転倒リスクが大幅に高まる。
単独事故なら自己責任で片付けられるかもしれないが、相手を巻き込んでしまったり、物損事故を引き起こしたりする可能性も高い。そういう乗り物を免許不要で乗れるというのは、周囲からすれば脅威以外の何物でもないだろう。
もっとも自動車もバイクも飛行機でも、あらゆる乗り物は、メリットを享受できる人とデメリットを被る人がいる。電動キックボード等の特定原付も然りだ。だからこそ道交法が存在しているはずなのに、今回の規制緩和はそれを使用するユーザーや提供する事業者の方だけを向いているように見えてしまう。
道交法の第一条には、「この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図ることを目的とする」とある。だとすれば、今後事故やトラブルが増えた場合には、厳格化の方向に進むべきだろう。そうならないためにも、電動キックボード等の特定原付のユーザーには、安全運転とルールの遵守を心掛けていただきたいところだ。
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