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パヴァロッティに捧ぐ、マセラティGTの本命!

GTとGTSの美点を集めたスペック

さて、モデナをベースにした今回の国際プレス試乗会のアイテムは、2007年にデビューしたグラントゥーリズモ=GT、2008年に登場したグラントゥーリズモS=GTSに続いて、これも今年2009年のジュネーブショーで発表された、マセラティ・グラントゥーリズモの3番目のバリエーション、グラントゥーリズモSオートマチック=GTS ATである。

 その内容は、ベーシックなGTが4.2リッターV8とその直後に置いたZF6段ATによって後輪を駆動し、GTSはエンジンを4.7リッターに拡大強化すると同時にトランスミッションを2ペダルMTのカンビオコルサに変更、しかもその搭載位置を後方に移動してデフと一体化したトランスアクスルとしたのに対して、新しいGTS ATはGTSと同じ4.7リッターエンジンを搭載するが、その名のとおりトランスミッションはZF6段AT、しかもそれをGT同様にエンジン直後のフロントに置く、というクルマだ。だからGTSのATバージョンというより、GTの4.7リッター版という表現の方が当を得ているかもしれない。

 パワーとトルクはGTの405psと47.0kgmからGTSと同じ440psおよび50.0kgmに上がった一方で、車重は1880kgとGTと変わっていないから、動力性能は当然上昇。0-100km/h加速はGTの5.2秒に対して、GTSの4.9秒に肉薄する5.0秒に短縮され、最高速もGTの285km/hに対してGTSと同じ295km/hに引き上げられている。

 その高性能に対応して、シャシー関連のスペックはGTS寄りに仕立てられている。ホイール&タイヤはGTの19インチに対してGTSと同じ20インチが標準になり、その内側に収まるフロントブレーキもローター径を330mmから360mmに拡大、キャリパーも6ピストンのGTS用にグレードアップされる。ただしその一方で、サスペンションにスカイフックダンパーが標準装備されるところは、GTS AT独自のスペックとなる。

 さらにGTS ATは、コンソールのスポーツボタンを押すとフラップが開いてマフラー内の排気の流れが変わり、左右4本出しのテールパイプから豪放な排気音が盛大に輩出される機構を持つ。ただしGTS ATのそれは、エンジン回転が3000rpmを超えて初めてフラップが開く構造であるところが、回転数に関係なく爆音を発するGTSと違う。つまりGTS ATなら、たとえスポーツモードを選んであっても、住宅地などで回転を抑えて走ればあたりに爆音を撒き散らさないですむという、良識派な運転が可能なわけだ。

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