まさに、鉄壁。新型Eクラスワゴンに試乗!
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:メルセデス・ベンツ日本
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:メルセデス・ベンツ日本
ではそれがライバルであるBMW 5シリーズツーリングや、アウディ A6アヴァントとはどのように異なるのか?
結論から先に記してしまえば、Eクラスワゴンは決してスポーツ/スポーティを志向しないところにある(E63 AMGは別として)。5シリーズツーリングもA6アヴァントにも、求める方向性としてはスポーツ/スポーティが少なからずある。そしてそれは操作系のダイレクト感や速さ、乗り味走り味などに表れている。言ってみればこの車格だからこそ持つ余裕/ゆとりを、運動性能のために使っているといってもいい。それゆえに5シリーズもA6も想像以上にスポーティだし、いわゆるドイツ車的な良い意味での硬さがある。また両者ともデザインとしてモダンな方向を強くむき、そこにプレミアムを求めようとする感覚が少なからずある。
これに対してEクラスワゴンは、あくまでもラグジュアリーな走りを志向しているといえる。実際に走らせても、感じるのは乗り心地の良さ、ハンドリングの忠実さなど、ドライバーおよび乗員を癒すような感覚だ。乗り味走り味に関しても、ダイナミクスそのものは2台と同レベルにあるのだが、決してそれを前面には出さず、しみじみと感じさせる慎ましさがある。またデザインに関しても、基本的に新世代のものを手にしたモダン方向にあるが、プレミアムを強く感じさせるためのものではなく、あくまで機能性の高さを志向した結果のものとしてそこにある。
そしてそうした乗り味やデザインの融合として何が違うかといえば、5シリーズやA6というのはトレンドにしっかりと乗ったプレミアムワゴンであるのに対し、Eクラスワゴンはあくまでも歴史と伝統を感じさせる雰囲気で、2台とは異なるプレミアム感をしっかりと醸し出しているのだ。
Eクラスエステートは、見た目や雰囲気、ブランド性はもちろんのこと、ラゲッジの広さや使い勝手といった実用性、そして走りと、全ての項目に渡って納得のできる素晴らしいものが構築されている。そう考えると、これほど優れた個々の完成度の高さを持ったうえで、それらがバランスしており、実に大きな円を思わせる仕上がりなのだから頭が下がる。つまりどこにも不足がない上に全てが完璧、とさえ思えるのである。だからこそEクラスワゴンは、その存在からして豊かさを象徴するのだろう。その意味でEクラスワゴンには、「プレミアム・ライフスタイル・エステート」という称号が相応しいと、つくづく思えたのだった。
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