918スパイダー試乗。ニュル最速のPHVの実力
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:ポルシェジャパン
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:ポルシェジャパン
試乗会はスペインのサーキットで行われた。早朝に雨が降ったおかげで路面は濡れている。918スパイダーに採用されたミシュランの専用タイヤは低温が苦手だ。1.7トンを超える重量と300km/h以上のスピードに耐えるタイヤは、ルマンで走るレーシングカーのタイヤよりも厳しい。フロント20/リヤ21インチのタイヤが温まるには路面が冷えすぎている。
昼ごろまで待ってテストドライブが始まった。ピットロードは完全にEVで走れるので、音がしないから918スパイダーが接近していることに気が付かない。本コースに出てスロットルを床まで踏むと、エンジンが目覚める。シングルプレーンのレース用V8に血が通った瞬間だ。私の体内にアドレナリンがあふれ出す。「やっぱりエンジンが気持ちいい!」と思わず叫んでしまう。
エンジンが始動してもフロントとリヤのモーターがアシストする。0-100km/h=2.6秒の加速力はいままで経験したことがない。あのGT-Rよりも速いのだ。往年の名レーサー、ヴァルター・ロールが先導するポルシェ・ターボに楽についていくことができる。コーナーでスロットルを踏むと、前後独立した四輪駆動なので、今までのどのスポーツカーとも異なるハンドリングに驚く。アンダーステアもオーバーステアもでない。リヤが流れるが、フロントタイヤが進行方向に引っ張ってくれる。アンダーが出そうになっても、フロントタイヤのコーナーリングパワーが予想以上に大きいのでフロントドリフトアウトを抑えてくれる。
加速もブレーキも異次元。さらに鋭いハンドリングを持っているので、重量ハンディを感じることもなかった。1台1億円近いスーパースポーツカーだが、数千万円のスーパーカーでは味わえない世界を持っていることは間違いない。せめてV8エンジンだけの格安モデルはないのかと聞くと、ポルシェのエンジニアは笑っていた。ドイツの自動車雑誌では「960」というコードネームでカレラGTの後継モデルがあるらしいと報じられている。しかし、未来のスーパーカーの夢を見せてくれるのはプラグイン・ハイブリッドの918スパイダーではないだろうか。
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