アウディTTSのMC版に速攻試乗。変化はわずかだが特別仕様車に注目
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office
エンジンはアップデートされている。これまでベースモデルに搭載されていた1.8リッターは2.0リッターに変わり、出力によって定まる新しいTTのモデル名は「TT 40 TFSI」が197ps、「TT 45 TFSI」が245psでこちらはオプションでクワトロ(4WD)仕様が選択できる。トランスミッションはベースモデルでは6速MTが標準、7速Sトロニック(DCT)がオプションである。
テストの主役であるTTSでは、最高出力はOPF(※今後欧州などで装着が広がるガソリン車用の排気微粒子フィルター)が装備されたためか、306psと出力がわずかに落ちていたが、7速Sトロニックとハルデックスクラッチによる4WDが組み合わされたダイナミック性能は若干向上し、0-100km/hは4.5秒、最高速度は250km/hでリミッターが介入する。
試乗会が行われたのはマン島だ。“TT”という名前がこの島で行なわれる有名な2輪レースの「マン島TT」から来ているのは言うまでもないだろう(※)。今回は、実際に競技に使うコースの一部であるマウンテンコースを封鎖して行われた。最高速度は一応90mph(145km/h)と推奨され、念のためにペースカーが先行する。
(※)マン島TT。ツーリスト・トロフィー(TT)と呼ばれる公道バイクレースで、1938年にはアウディの母体となったメーカーのひとつであるDKW社が「ULD 250」でクラス優勝。1967年には同じく後にアウディの基礎となるNSU社が「プリンツ 1000」にTTと名付けられたスポーツバージョンを発表している。
スポーツカーにとって最高のシチュエーションを得て、TTSはそのダイナミック性能を存分に発揮した。スタンダードよりも1cm低められた車高、19インチにアップされたタイヤ、クワトロシステムが荒れた路面にも関わらず素晴らしいロードホールディングを発揮する。
ただし、ドライブセレクトで「ダイナミック」を選択するとダンパーはハードに、ステアリングも手応えを感じるが、あくまでも“スポーツモード”でクローズドサーキット(や、それに近いシチュエーション)での本格的な走行は意図していない。特にステアリングはもっとダイレクトであって欲しかった。
ともあれ、TTSはロードコースでは十分に操る楽しさを与えてくれる存在だった。パワートレーン関連で気になったのはターボラグがちょっと目立った点だが、それ以外ではパワフルでスポーティなドライブを約束してくれるだろう。要するにダイナミック・パフォーマンス全体もデザインの変化と同じく、ミニマムなアップデートに終始していた。
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