中古車購入ガイド [2024.08.16 UP]
排ガス規制のあの時代を生き延びた、”ニュークラシック”なスポーツカー5選
90年代は国産スポーツカーの全盛期。日産 スカイラインGT-R、ホンダ NSX、ユーノス ロードスター、三菱 GTO……挙げればきりがないほど珠玉のモデルばかりだ。これらのモデル(ネオクラシックカー)は現在価格が高騰しており、物件も減って手が出しにくい状況なのは有名な話。しかし、90年代後半から2000年代のスポーツカーは比較的手が出しやすく、いま狙い目となっている。そんな、ちょっと古くて新しい時代の“ニュークラシック”なスポーツカーを5台ピックアップして紹介しよう!
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ニュークラシックなスポーツカーってどんなクルマ?
日産 シルビア(1999年)
ここでは80年代後半~90年代のクルマをネオクラシックと呼ぶのに対し、2000年代のクルマを『ニュークラシック世代』と呼ぶことにしよう。90年代に隆盛を極めた国産スポーツカーは、平成12年排ガス規制により、次々と終焉を迎えた。その多くは280馬力を誇る高性能モデルが中心で、トヨタ スープラ、日産 スカイライン GT-R、ホンダ NSXなどが2002年までに生産終了。また、かつての人気モデルだった日産 シルビアやホンダ プレリュードなどのスペシャルティカーもクーペ需要の低迷により、次世代型が登場することなく消えてしまった。
しかし、全てのスポーツカーが絶滅したわけではない。あの手この手で生き残ることができたモデルも意外と多いのだ。今回のテーマであるニュークラシック世代のスポーツカーは、ネオクラシック世代にも負けない魅力のモデルが揃っている。以前のように高性能を追求したピーキーなモデルは減っていき、普段使いもできる実用性や高い環境性能を持つモデルが多いことも、この時代の特徴といえる。これ以降、国産スポーツカーのあり方が見直されてグローバル化が進み、280馬力規制が撤廃されて世界で通用する本物のスポーツカーが生まれていく(レクサスLFAや日産GT-Rなど)。それまでの過渡期にあるのが、ニュークラシック世代なのである。
4ドア・4シーターで実用性を高めた「マツダ RX-8」
マツダ RX-8(2003年)
1985年から続くマツダのロータリースポーツ、RX-7は2002年に生産終了となった。当時世界で唯一の量産型ロータリースポーツカーだけあり、生産終了を惜しむ声は絶えなかった。しかし、それと入れ替わるように2003年4月に登場したのがRX-8である。RX-8の最大の特徴は、観音開き式のセンターピラーレス4ドアの4シーターであること。スポーツカーの弱点でもあった実用性を確保しつつ、走りも妥協しない硬派な設計で、スポーツカーファンをも唸らせた。
パワートレインは、新世代ロータリーエンジン「RENESIS(レネシス)」を搭載。最高出力は250馬力(タイプS)と、最終型RX-7より控えめであるが、軽快な走りは紛れもなくスポーツカー。その後は改良を重ねて生産されたものの、2012年でついに生産終了。ここでロータリースポーツカーの系譜は途絶えたが、2023年のジャパンモビリティショーではロータリーを搭載した「マツダ アイコニックSP」がお披露目され、市販化が待たれている。RX-8の中古車は物件豊富で、100万円以下のリーズナブルな車両も目立つ。
新世代の国産スポーツカー「日産 フェアレディZ(Z33)」
日産 フェアレディZ(2002年)
1969年から国産スポーツカーの顔として生産が続けられたフェアレディZ。90年代は高性能な4代目(Z32)の時代だったが、こちらも排ガス規制により2000年に生産終了してしまう。しかし、2002年には次世代型として5代目(Z33)がデビュー、2年のブランクを経ての復活を遂げた。Z33は当時のスカイラインとプラットフォームを共有することでコストダウン。とはいえ、スカイラインよりもホイールベースを200mm短くし、運動性能を重視したのが特徴である。また全車2シーターとなり、オープンモデルのフェアレディZロードスターも追加された。
パワートレインは、ターボ車を廃止して全車自然吸気の3.5L V6を搭載。当初は自主規制の280馬力に抑えられたものの、2005年のマイナーチェンジでは294馬力に向上している。より本格的なスポーツカーとして生まれ変わったZ33は、国内外でも大ヒット。新しい日産を象徴するモデルとして2008年まで販売された。その後もフルモデルチェンジを重ね、現在でも生産が続けられている。中古車はかなり安くなっており、100万円台前半の予算でも幅広く狙える。物件数も多く、手が出しやすい。
新世代エンジンで生まれ変わった「トヨタ セリカ」
トヨタ セリカ(1999年)
WRCに参戦するなど、モータースポーツでも活躍したセリカ。90年代のセリカといえば、WRCのベース車となった「セリカ GT-Four」が有名で、ハイパワーの直4ターボに4WDを組み合わせたモンスターマシンだった。しかし、1999年にフルモデルチェンジを受けた7代目は、燃費の悪いターボと4WDをきっぱりと廃止。新設計となる自然吸気のパワートレイン(ZZ系)を搭載し、前輪駆動のスペシャルティクーペとして生まれ変わったのだった。しかし最高出力は190馬力(SS-II)と、これまでのセリカ GT-Fourと比べてやや物足りない性能に。これには一部のファンから失望の声もあったが、走りはむしろ従来型よりも軽快で、スポーティクーペとして十分ハイレベルなものに仕上がっていた。
エクステリアデザインは北米のCALTYが担当。丸目4灯のヘッドライトが廃止され、縦長ヘッドライトを採用。全体的にスリムで前衛的なスタイルは、ほかに何にも似ていない個性的なデザインも見どころである。セリカは2006年まで生産されたが、後継モデルは存在せず、そのまま生産終了となってしまった。現在相場は高騰しておらず、100万円以下の物件も目立って買いやすい。今後希少価値が上がる可能性もあるので、早めに良質な車両を探しておきたい。
AT車も設定された「三菱 ランサーエボリューションVII」
三菱 ランサーエボリューションVII(2001年)
90年代の国産スポーツといえば、ランエボことランサーエボリューションシリーズも欠かせない存在。初代が登場したのは1992年で、WRC参戦のためのホモロゲーション取得用モデルとして販売された。これは前述のセリカ GT-Fourと同じような立ち位置といえる。その後は改良が重ねられ、2001年1月にはランサーエボリューションVIIが登場した。パワートレインは従来と同じ「4G63」を改良して搭載。ACDなどの新しいメカを携え、21世紀初のランエボとして華々しくデビューを飾った。
ベースとなるのは、ひと足早くモデルチェンジしたランサーセディア。この時代の三菱は品質改善にも力を入れており、ランサーセディアも従来型と比べて高品質化が売り。それがランエボVIIにもしっかりとフィードバックされている。また、ランエボとして初となるAT車「GT-A」を設定し、気軽に高性能セダンが乗れるようになったのも話題となった。このランエボVIIを境に、一部のモータースポーツファンが乗るマニア向けのモデルから、身近な高性能セダンになったターニングポイントとなっている。中古車は200万円から300万円の物件が中心。ランエボのなかでは買いやすいが、多走行車が目立つ。
2000年代も変わらぬ魅力を放った「スバル インプレッサ WRX STi」
スバル インプレッサ WRX STi(2000年)
前述のランエボのライバルであるインプレッサ WRX STiも、90年代から2000年代を生き抜いたモデルである。当初はWRCのホモロゲーション取得用モデルとして誕生したのはランエボと同じ。2000年代に入ってからは、ランエボVIIとほぼ同じタイミングの2000年10月にフルモデルチェンジを受けた。パワートレインは、先代と同じ水平対向型4気筒ターボ「EJ20」を搭載し、その豪快な走りっぷりは健在だった。
ベース車は2代目インプレッサだが、この世代のインプレッサは丸目のデザインが大きな特徴となっている。初代は横長の精悍な顔つきだったので、この路線変更は当時賛否両論だった。それを受けて2002年11月にはヘッドライトが涙目形状に改良。さらに2005年には吊り目形状に変更されている。中古車相場もランエボVIIに近く、200万円台の物件が中心。低走行車は少ないが、現実的な予算で手に入るのが嬉しい。
ニュークラシック・スポーツも今後は相場が高くなる?
三菱 ランサーエボリューションVII(2001年)
ニュークラシック・スポーツは手頃な価格で買えるというのも、今現在の話。スポーツカーとしての価値を考えると、いずれ相場が上がっていくことも十分ありうる。また、コンディションのよい個体が年々減少傾向にあるので、購入を考えているなら早めに決断したいところ。これから内燃機関のモデルは淘汰されていくため、このようなスポーツカーを気軽に楽しむなら間違いなく「いま!」である。
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みんなのコメント
純正ソレックスやSUキャブなどを駆逐した50年代の排ガス規制が思い浮かびますね。
それ以前は触媒なしのほぼ直管が純正とか今では考えられないですね。
ちなみに自分はS30Zの縦デュアルマフラーがとてもカッコよくて好きです。