新型レンジ、ヴォーグとオートバイオグラフィ
掲載 更新 carview! 文:佐藤 久実/写真:北畠 主税
掲載 更新 carview! 文:佐藤 久実/写真:北畠 主税
新型レンジローバーを見た時、イヴォークを思い起こさせた。従来になく、よりスタイリッシュなエクステリアデザインを纏っていたからだ。いや、もちろん、「元祖」はレンジローバーであり、イヴォークが弟分ではある。新しさは備えながらも、過剰さはなく、基本的なスタイルは継承されている。それでいて、"デザインコンシャス"なイヴォークとの共通性を感じさせるあたりに、デザインの妙を感じる。アンダーステートメントな感のある、"ちょっと控えめ"なブリティッシュ・デザインは、同じマインドを持つ日本においても受け入れられる理由のひとつだろう。
オン/オフを選ばずどこへでも行ける力強く頼もしい存在感は、機能のみならず、デザインにも表れている。たとえば、あらゆる道路状況を走破できるレンジだけに、窓を開けて路面状況を視認しやすいように、ドライバーズシートが窓側にオフセットされている、なんてことも、言われなければ気づかないが、長年培われたSUV専用メーカーならではノウハウであり実用性である。
レンジローバーのディテールの前に、改めて「ブランド」について触れておきたい。マスターブランドとなる「ランドローバー」の中に、"ラグジュアリー"をキーワードとした「レンジローバー」と、"レジャー"をキーワードとした「ランドローバー」ブランドがある。根っこのDNAは同じながら、レンジローバーは洗練性>信頼性>多用途性のヒエラルキーに対して、ランドローバーは多用途性>洗練性>信頼性となっている。
エクステリアデザインにイヴォークとの共通項を見いだすも、いざ、室内に乗り込むと、"格の違い"を実感する。デザインやマテリアル、個々を取れば、同じ車格で同じくらいのクオリティをもつクルマは他にもある。しかしながら、色使いや質感含め、室内空間全体が作り出す雰囲気は、品格があり、ノーブル。インテリアでいえば、イヴォークは、質感を譲り受けながらもよりカジュアルな雰囲気に仕上げられている。「レンジローバー」ブランドとしての一貫した縦軸と、車格による作り分けの上手さを感じた。
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