もうFFだけとは言わせません! 手強いライバル相手に日産「キックス」が負けていないところとは!?
掲載 carview! 文:伊達軍曹/写真:日産自動車 84
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日産「キックス」は、「e-POWER」ならではの力強い加速とアクティブなイメージのエクステリア、そして運転しやすいコンパクトなボディサイズでありながら広い室内空間はかなり広い――という特徴を持つBセグメント(日産「ノート」ぐらいのサイズ感)のSUV。日本では2020年6月に発売され、2022年7月にマイナーチェンジを受けました。
キックスは、海外市場では2016年から販売されていましたが、日本市場へ導入されたのは前述のとおり2017年7月。海外向けのパワーユニットにはガソリンエンジンも用意されていますが、日本仕様は日産がe-POWERと呼んでいるシリーズハイブリッドのみです。
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ボディサイズは全長4290mm×全幅1760mm×全高1610mmと、近年のSUVとしては比較的小ぶりなもの。しかし運転席からの視界は良好で、後席も、同クラスの競合車種よりは断然広い作りになっています。またラゲッジスペースも、5人乗車時でも423Lというなかなかの量が確保されており、9インチのゴルフバッグであれば3つ、675×452×250mmサイズのスーツケースならば4つ収納可能です。
日本仕様のパワーユニットは前述のとおりe-POWERのみで、発売当初は最高出力82psの1.2L直3ガソリンエンジンで電気を作り、同129psと最大トルク260Nmのフロントモーターが駆動――つまり、FFのみの設定でした。
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2022年7月に行われた直近のマイナーチェンジではモーターの出力を約5%、最大トルクを約7%向上させた「第2世代のe-POWER」に変更し、よりパワフルな走りを実現。それと同時に低速走行時のエンジン始動頻度を低減させることで静粛性が向上し、アクセル操作だけで加減速をコントロールできる「e-Pedal Step」も、より滑らかな操作が行えるようになっています。
さらにはスポーツやエコモード選択時にも「Bレンジ」が選択できるようになったことで、下り坂などの強い減速が必要な場面でも、より安心して運転できるようになりました。加えてWLTCモード燃費も向上し、2WD車の場合で23.0km/Lをマークしています。
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そしてこのマイナーチェンジでは「新たに4WDを追加した」というのも大きなトピックです。以前のキックスは「SUVなのに2WDだけかよ!」とも言われていましたが、今回、後輪車軸に最高出力68psのモーターを搭載する4WDの「X FOUR」を追加。悪路や雪道、あるいは峠道などを走る機会が多い人にとっては朗報といえるでしょう。X FOURのWLTCモード燃費は19.2km/Lとなっています。
高速道路の長距離運転や渋滞時の運転をサポートしてくれる「プロパイロット」や「踏み間違い衝突防止アシスト」といった運転支援システムは当初から全車標準装備でしたが、2022年7月のマイナーチェンジで2台前の車両の車間や速度を把握できる「インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)」が全車標準装備となり、上位グレードでは「インテリジェントアラウンドビューモニター」や「インテリジェントルームミラー」などの先進装備が標準装備されることになりました。
インテリアデザインはもともとしゃれていたキックスですが、今回のマイナーチェンジでセンターコンソールとシフトレバーのデザインを一新。より先進的な意匠を実現させています。また「ツートーンインテリアエディション」には、従来からのオレンジタンに加えて新たにベージュを追加したことで、シックな味わいも堪能できるようにもなっています。
そして新グレードである「スタイルエディション」はリアコンビランプ一体型フィニッシャーや、ダーククローム調のグリルフィニッシャーを取り入れたほか、内装の基調色に落ち着きのある深いブラウンを採用。こちらもなかなかシックな装いです。
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現在販売されているキックスのグレードと価格は以下のとおりです。
【2WD】
X/279万8400円
X ツートーンインテリアエディション(オレンジタン)/290万8400円
X ツートーンインテリアエディション(ベージュ)/290万8400円
X スタイルエディション/301万8400円
【4WD】
X FOUR/306万1300円
X FOUR ツートーンインテリアエディション(オレンジタン)/317万1300円
X FOUR ツートーンインテリアエディション(ベージュ)/317万1300円
X FOUR スタイルエディション/328万1300円
最廉価グレードであるXおよびX FOURは、ステアリングヒーターと前席ヒートシーターがオプション扱いとなりますが、そのほかは先進安全装備を含めて上位モデルとの違いはほぼないため、「お安いXで十分」と見ることはできるでしょう。
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とはいえXはインテリアが「黒1色」となるため、キックスならではの「華やかで明るいイメージの内装」を味わうことができません。
そのため選び方としては、
・ツートーンインテリアに特に興味がないならXまたはX FOUR
・ツートーンインテリアがお好きなら(当たり前ですが)X ツートーンインテリアエディションまたはX FOUR ツートーンインテリアエディション
・ハイセンスなブラウン内装がお好みならX スタイルエディションまたはX FOURスタイルエディション
ということになるでしょう。2WDにするか4WDにするかは、「どんな地域にお住まいなのか?」というライフスタイルや、休日などに打ち込んでいるご趣味の内容に応じて決めるべきことです。
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キックスのライバルとなるのは、同じBセグメントSUV(ざっくりいうとコンパクトSUV)というジャンルに属するトヨタ ヤリス クロスとホンダ ヴェゼルでしょう。
これらのうちヤリス クロスは車両価格が手頃であることに加え、ハイブリッド車に関しては燃費もキックスより明らかに良好です。その半面「後席が狭い」「荷室も広くない(アレンジは多彩に行えますが)」という弱点はあるのですが、ライフスタイル的にそこが特に問題とならず、なおかつ経済的なコンパクトSUVを探している人には、キックスよりもヤリス クロスのほうが適任かもしれません。
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またヴェゼルは車体のサイズがキックスよりも少々大きい関係で、後席の居住性は、そもそも良好であるキックスよりもさらに良好です。そしてe:HEV(ハイブリッド車)のWLTCモード燃費も、キックスのそれを若干ですが上回っています。それゆえヴェゼルは間違いなく「おすすめのコンパクトSUVである」と言うことができるのですが、車体がやや大きい分だけ「我が家の使い方や道路幅などに合わない」ということもあるかもしれません。そこだけは、事前に落ち着いて確認しておく必要があるでしょう。
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そんななかでキックスは「コンパクトSUVとしてはとにかく荷室が広くて、後席も(ヴェゼルにはやや劣るものの)十分に広く、そして何よりe-POWERならではの“超活発な走り”が堪能できるという美点があります。
つまり、ガンガン人や荷物を載せて、どこか遠くまでガンガン走ってガンガン遊ぶ――みたいな使い方を想定しているのであれば、キックスは「コンパクトSUV」という激戦区のなかではちょっと図抜けた能力を有している一台なのです。
このデザインや雰囲気が気に入ってご検討中の方は、そのまま突き進んでも何ら問題はありません。
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