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新型911ターボSは新シャシーや空力システムにタイヤ温度モニターまで装備して走りを進化させた

量産車では世界初のタイヤ温度モニターを採用

さて、いよいよ新型ターボに乗り込む。インテリアはすでにスタンダード992カレラでお馴染みの、中央にアナログタコメーターを備えた5連メーターと、ダッシュボードにある7インチのモニターが水平に並ぶ。スターターキーを回して、セレクトスイッチのDを選択、右足でスロットルペダルを踏み込む。加速フィールは圧巻で、ドライバーも予期しないほど強いGでバックレストに体を押しつけられる。デジタルスピードメーターはまるで壊れてしまったかのように数字を上げてゆく。

ちなみにニューターボは旧型よりも40kg重くなっているが、カタログでのデータは200km/hまでの加速所要時間は8.9秒(カブリオレ9.3秒)と向上、アウトバーンでもちょっとした空きがあればすぐにでも到達可能だ。また4WDと4WSのおかげで、こんな高速域での直進安定性、ステアリングの座りの良さは「安心で快適」と表現できるほどである。突然、前に割り込まれてもフロント420mm×40mm、リア390mm×32mmサイズのPCCB(ポルシェ セラミック コンポジット ブレーキ)の強大でコントローラブルな制動力によって空車重量1710kg(DIN)、総重量2080kgのオープンボディは見えない空気の壁に当たったように速度を落とす。

アウトバーンを降りてワインディングロードへ向かうと、ここでもその走りは想像を超えるものだった。新しく採用されたミックスサイズタイヤと新たにチューニングされたスポーツシャシーはニューターボにアジャイルでダイナミックなハンドリングを約束している。コーナリングはほぼニュートラルで、峠道の登り坂では特にハングオンタイプの4WDシステムによる理想的なトラクションと、正確なインフォメーションをもったステアリングを操りながらターボをコントロールする楽しみを享受することができた。

ところで、この911ターボには量産車ではおそらく世界初と思われるタイヤ温度モニターが採用されている。レーシングカーではすでに見られる技術であるが、モータースポーツに長く携わってきた開発担当主査のフランク・ヴァリザーは「パフォーマンスを安全に楽しむには必要なディバイス」と言う。

最後に価格だが、ドイツでの19%の付加価値税込みでクーペが21万6396ユーロ(約2540万円)。今回テストしたカブリオレが22万9962ユーロ(約2700万円)と発表されている。ちなみにこれまであった「S」のつかないターボについては、今のところポルシェからの正式発表はない。

※取材記者が独自に入手した非公式の情報に基づいている場合があります。

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