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新型レンジ、ヴォーグとオートバイオグラフィ

ヴォーグとオートバイオグラフィ

さて、洗練度や信頼性で支持されてきたレンジだが、最近はデザインもモダンになっている。そんなブランドのトップに位置するのが「レンジローバー」だ。世界初となるオールアルミ製モノコックボディを採用することで約200Kgの軽量化を図り、オンロード性能が飛躍的に向上している。ラグジュアリーSUVセグメントの頂点に君臨するに相応しい佇まいと性能をあわせもつ。

「ヴォーグ」に搭載されるのは、V8 5Lエンジンだ。今回の試乗の地、長崎の郊外は、交通量はほどほどで、流れはゆっくり。そんな交通状況の中、海を横目にレンジを走らせると、気持ち良くクルマとシンクロできる。

アクセルを開けると豊かなトルクが盛り上がり、力強くもゆったりと動きだす。ストローク感たっぷりだが、ステア操作に対して思いどおりに動いてくれるし、アクセルを踏んだ分だけ加速してくれ、まったく角がなく、ドライバーの操作に、きわめて自然に追従してくれる操縦性が心地良い。パワーがありながらも敢えてスピードを出す気にならず、"ゆとり"を楽しむ気分にさせてくれるのも、このクルマの魅力だ。

続いて試乗したのは、「レンジローバー オートバイオグラフィ」。各モデルのトップグレードに与えられる名前だ。レンジローバーの場合、V8スーパーチャージド ヴォーグがベースとなっている。

興味深いのは、上級グレードに対する考え方、価値観が、他ブランドとはまったく異なる点だ。たとえばドイツブランドのトップレンジに位置するクルマ達、メルセデス・ベンツのAMGであったりBMWのMモデルは、スタンダードモデルに対してパワートレーンが異なる。大幅にパワーアップされたエンジンが搭載され、シャシーもそれに見合うよう、チューニングされている。

一方、レンジローバー オートバイオグラフィは、エンジン、ミッション、サスペンションなどのランニングギアに関しては、V8ヴォーグとまったく同じだ。そして、インテリアのマテリアルや装備の充実が図られ、上質感、ラグジュアリー度が増した「トップグレード」となっている。

「より速く快適に目的地に到達する」ドイツ流と、日本同様、制限速度はさほど高くない分、「より上質な時間と空間を堪能する」イギリス流の考え方の違いだろうか。速さに依存した楽しさを享受しにくい日本においては、スタイリング同様、このレンジローバーの価値観は、"上級志向"の方にとっては大いに受け入れられるのではないだろうか。

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