続・GT-R 2011モデル 中古オーナーにも朗報

アドバンスキット独自の走り味！

一言でいってしまえば、このアドバンスキットを装着すると、フロントのトレッドを広げたような効果が出る。

それはフロントのグリップが上がった感覚をもたらすもので、ハンドル操作に対する反応や効き具合が良く、さらにはハンドルからのインフォメーションも洗練される。07モデル同士で、キット装着車と未装着車を比較すればそれは明白で、ハンドルの切り出しに対してキット有りはシャープに曲がりだす上に、ハンドルを切り足した際に操作に忠実にクルマが反応してグイグイと曲がり込んでくれる。結果として、コーナーリングスピードも上がるのだ。

ハンドル操作にシャープかつ素直に反応してグイグイ曲がる感覚は、歴代GT-Rのハンドリング特性そのものだ。ちなみに4輪駆動制御の賢さや、元々リアのスタビリティが高い効果によると思われるが、フロントが曲がり込んで行く特性が強まっても、リアが滑るなどの不安定な姿勢を誘発しないのも良いところだ。

そしてこのキットの更なる魅力は、乗り心地が良くなることだ。安定した高いグリップ力を生み出すフロントサスペンションのしなやかな動きは、同時に路面の凸凹を見事にいなす。キットの有りの車両では路面そのものが滑らかになった印象を抱くとともに、突き上げ感も和らいでいる。しかも興味深いのは、その乗り心地のレベルが2010年モデルに匹敵すること。逆に言えば、乗り心地においてフロントサスペンションが請け負う役割が大きいことを改めて教えてくれたのだ。

他にもトランスミッションやエンジンマウントの効果として、走行振動の抑制やコーナーリング中の荷重の掛かり方がスムーズになり走り易くなるなど、アドバンスキットの効果は多岐に及ぶ。そのような効果を生み出すキットが工賃別で38万円。絶対的な価格は高いと言わざるを得ないが、GT-Rの中古車を選ぶなら装着して損をしない濃い内容と言えるのではないか。最後に個人的な話をすれば、自身のGT-Rは前後共に足回りをアップデートしてあるが、このアドバンスキットの比較試乗によりリアだけ07モデルに戻そうかと悩み出しているほどだ。