国産ミニバンのアンチテーゼ=プジョー308SW
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:齋藤 正
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また308SWで侮れないのは、その使い勝手だ。シートの広さは確かに国産ミニバンより狭めで、2列目は身長176センチの私が1列目に座った状態で、最大で頭とヒザ前にコブシが1つぐらい入る程度。それでも旧型である307SWと比べると横幅が広くなり、左右と真ん中シートがすべて同サイズになった。とはいえ3列目は確かに緊急用、あるいは子供用程度で、私が座ると床が高すぎてヒザを抱える姿になるし、頭は天井、ヒザは前に当たってかなり狭い。ついでに乗り降りもしにくいし、ラゲッジにトノカバーが付いてる場合はわざわざ外さなければならない。
しかしそうそう全席に大人が座ることはないし、なによりユニークなのはラゲッジの広さと使い勝手で、2・3列目のシートは1座づつ外せて自由度が高い上、スペースは最大で1140リッター、天井まで使えば1736リッターにまで拡大する。もちろんシートを外しても収納する場所がないとツライが、リアハッチには307SWに無かったガラス部だけが開く機能も付いたし、全長4.5メートルのハッチバック車としてはかなりの使い勝手と言っていいだろう。
要するに308SWはある種、国産ミニバンのアンチテーゼでもあるのだ。なにかと専用設計で3列すべての居住性を重視し、それ以前のクルマが持っていた良さや楽しさを捨てがちな国産ミニバンに対し、308SWは3列目を最初から割り切り、基本的なハッチバックの良さを捨ててないどころか伸ばしている部分さえある。どちらも好き好きだが、こういう選択肢があってもいいと私は思う。
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