BMW・次期7シリーズに試乗。時代の先へ先へ
掲載 更新 carview! 文:萩原 秀輝/写真:BMWジャパン
掲載 更新 carview! 文:萩原 秀輝/写真:BMWジャパン
広報資料の発表後、2008年10月に旧東ドイツの古都、バロック様式の建築物が残る街並みが世界遺産に指定されているドレスデンとその周辺で次期モデルの国際試乗会が実施された。石畳が残る市街地を「750Li」で走り始めると、相変わらずボディ剛性がきわめて高いことがわかる。ボディは、骨格をスチール製としながらもボンネット、フロントフェンダー、ルーフ、ドア、フロント・スプリング・サポートをアルミニウム製として大幅な軽量化を図っているが、乗員のいない助手席の背もたれが自重によって揺れるような路面でも、不快な振動を完ぺきに遮断する。
さらに、新採用の「ダイナミック・ドライブ・コントロール」は、ダンパーの減衰力、ステアリングの手応え、アクセル操作に対する応答性、シフトプログラムなどを、「コンフォート・ノーマル・スポーツ・スポーツ+」の4段階に統合制御。それをコンフォートにすると、まるで鏡の上を走っているような滑らさが確かめられる。この点については、他のレポーターからはサスペンションの動きにフリクションを感じるといった意見も聞こえてきたが、量産前の試作車にありがちな個体差が原因であろう。市販車は最善を目指して量産体制にはいるだけに、今回実感できた「まるで鏡の上を」的な走りが再現されるに違いない。なおかつ、試乗車の750Liは19インチのランフラット・タイヤを装着していたが、その接地感の硬さが完ぺきに排除されていたことも付け加えておこう。
試乗車は、新開発の「インテグラル・アクティブ・ステアリング」をオプションで装備していた。低速では、ステアリングのギア比がクイックなので片側に1回転するだけでフロントタイヤ切れ角が最大になる。そのため、狭い路地や車庫入れなどの取り回しが容易になる。しかも、リアタイヤも最大で3度逆位相側に操舵され、最小回転半径を70cm小さくする効果がある。全長5.2mを越えるボディを持て余すことがなく、それでいてリアタイヤが切れることによる違和感はまったくなかった。
市街地から郊外路に出て速域が高まると、ステアリングのギア比が徐々にスローになる。リアタイヤも、同位相側に切れるようになる。それでも、安定性を最優先した穏やかな操縦性を示すわけではない。むしろ、ダイナミック・ドライブ・コントロールをノーマルにすれば、BMWの最高級サルーンカーにふさわしい正確な操縦性が際立ち、路面のうねりを通過しても市街地で感じたフラット感も確かめられる。さらに、スポーツにすると試乗車にはオプションのアクティブ・スタビライザーが装備されていたためもありロールが抑えられ、ステアリング操作に対して鋭く反応する操縦性を発揮し気持ちのいい走りが楽しめた。
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