レンジローバー試乗、SCとNAの走りチェック
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:菊池 貴之
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もともとはそういった用途を想定して生み出された初代レンジローバーだが、次第に都会に本拠を持つ富裕層の目にとまり始めて、むしろランドローバーの想定と逆方向の用途に使われるようになっていく。つまり、普段は大都市のアスファルトの上を都会人の足として走り、週末にそのオーナーが持つカントリーハウスに出掛ける際のツアラーとして使われて、場合によってはそこでオフロードも走る、といった用途である。
僕が初めてヨーロッパを訪れた1970年代半ばから後半にかけての頃は、まだレンジローバーを目にする機会はさほど多くなかったと記憶しているが、80年代に入るとロンドンやパリやミラノで、周囲のクルマよりひときわ背が高くしかもスクエアな初代レンジの姿をかなり頻繁に見るようになった。と同時に、イギリスのモーターウェイやフランスのオートルートでも、小型のトレーラーを引いたりしながら郊外へと走る姿が目につくようになった。レンジローバーが世界中でリッチな都会人のクルマとして認知されたのである。
その結果、1994年に世に出た2代目レンジローバーは、もはやラゲッジルームに豚を積むことなど想定していない、裕福な都会人のためのクルマとしてデザインされていた。しかしそれでも、丘を登り、川を渡り、道なき道を走破する能力は依然として世界最高水準を維持していたのは、オフロードカーの老舗、ランドローバーの意地だったといえる。
やがて2001年には、当時ローバーを傘下においていたBMWの主導で開発されたとされる3代目レンジローバーがデビューするが、それは2代目で確立されたコンセプトを一段と高いレベルで進化させたクルマで、初代の24年には遠く及ばないものの11年のモデルライフを全うして、2012年に4代目の新型にその座を譲ったのだった。
その4代目レンジローバー、開発に当たって3代目の顧客から提示された意図を言葉にすると「Don't change it, just make it better」、「変える必要はない、良くするだけでいい」、というものだったという。その結果として生み出されたのが、以下のようなクルマである。
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